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野生ライチョウ 腸内細菌が解毒 中部大研究

盲腸糞を取り囲んでついばむニホンライチョウのひな=2013年7月、北アルプス乗鞍岳(中村浩志さん撮影)盲腸糞を取り囲んでついばむニホンライチョウのひな=2013年7月、北アルプス乗鞍岳(中村浩志さん撮影)
 国特別天然記念物のニホンライチョウについて、野生の個体の方が人工飼育の個体よりも、高山植物に含まれる毒素を分解する腸内細菌を多く保有していることが7日までに、中部大(愛知県春日井市)などの研究で明らかになった。野生の個体はひなの時期、母鳥の盲腸で作られる盲腸糞(ふん)を摂取することで腸内細菌を得ているとみられる。2015年度に国内で始まったライチョウの人工飼育では、人工ふ化したひなの4割近くが2週間以内で死んでおり、専門家は保護対策を考える手掛かりになると注目している。

 研究は中部大の牛田一成教授(動物生理学)らのグループが14年度に開始した。北アルプス、南アルプス、乗鞍岳、御嶽山で、野生の個体の盲腸糞を採取して細菌を分析。大町市立大町山岳博物館、上野動物園(東京)、富山市ファミリーパークで人工ふ化し、盲腸糞を食べていない人工飼育下の個体の盲腸糞の細菌と比較した。

 その結果、野生個体の細菌はいずれも、高山植物に含まれる毒素のロドデンドリンとロドデノールを効率よく分解した。一方、人工飼育の個体の細菌はロドデノールの分解能力が著しく低かった。野生の盲腸糞には、タデ科の植物にある毒素のシュウ酸や、渋味の成分タンニンを分解する菌も存在した。

 牛田教授は「野生の個体は腸内細菌が高山植物の毒素を解毒している」と説明。人工飼育の個体については、「ヒトに近い腸内細菌の構造になっている」とみている。

 鳥類生態学が専門で研究グループに加わる中村浩志国際鳥類研究所(長野市)の小林篤理事らと、ひなが母鳥の盲腸糞を食べる行動や、ひなの腸内細菌の変化を分析。その結果から、牛田教授は「コアラなどで見られる食糞によって親から子に腸内細菌を伝える仕組みが、ライチョウでも科学的に証明されつつある」とする。

 北海道大大学院の園山慶准教授(食品機能科学)は研究結果について、「ライチョウの採食において腸内細菌が重要な役割を果たしている点を証明している。将来の保護対策を考える上で大変参考になる」としている。

 今回の研究成果は、都内で8日開く環境省のライチョウ保護に関する検討会で報告する。

(12月8日)

長野県のニュース(12月8日)