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リニア談合 事実の徹底究明を急げ

 何度も繰り返されてきた大手ゼネコンの談合事件。今度はリニア中央新幹線工事の入札を巡り、大手ゼネコン4社が受注調整をしていた疑惑が出てきた。

 大林組、鹿島、清水建設、大成建設の4社である。入札前に協議して、受注予定者や入札価格を決めていた疑いがある。

 これまで契約済みのリニア関連工事22件のうち、4社は計15件を受注している。件数は3〜4件ずつとなっており、均等に振り分けるように調整したとみられる。

 東京地検特捜部と公正取引委員会は独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、4社を家宅捜索した。大林組は不正な受注調整を認め、課徴金減免制度に基づき、公取委に違反を申告している。

 JR東海による民間事業のため、刑法に基づく談合罪は適用されない。とはいえ、談合で工事費が膨らめば、乗客が支払う運賃にはねかえる恐れがある。各社が技術と価格を競争する自由で公正な入札が工事の前提だ。特捜部と公取委が独禁法違反容疑で捜査に乗り出したのは当然である。

 リニアは総工費9兆円に上る巨大事業で、全国新幹線鉄道整備法に基づき国土交通相が認可している。財投債を財源とした財政投融資で国が調達した資金3兆円も、JR東海に貸し出されている。国家プロジェクトに等しい。

 工事契約が不透明ならば、特捜部と公取委は事実を徹底究明するべきだ。

 背景には、リニア中央新幹線工事の特殊性もあるだろう。

 2027年に先行開業する東京・品川から名古屋までの286キロのうち、86%をトンネルが占める。山梨、静岡、長野を通る全長約25キロの南アルプストンネルは特に困難とされる。地表から約1400メートル付近を掘削するため、強い負荷がかかり、高圧の水脈に当たる恐れもある。地下深くに建設する名古屋や品川の新駅も難工事だ。

 施工できる技術を持つゼネコンは限られているとされる。各社は入札に参加できる業者が少ない環境を利用して、談合を繰り返していたのではないか。各社の間でどんなやりとりがあり、入札にどう影響したのか、慎重に調べる必要がある。

 県内では、リニア関連工事の生活環境への影響などを巡り、JR東海と地元との対話が不足し、住民の不安や不信感を招く事態も生まれている。今回の疑惑は不信感をさらに高めることにつながる。全容解明と責任追及は地元の理解を得るためにも不可欠である。

(12月20日)

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