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米国批判決議 独断専行は許されない

 「脅し」の効果も限られたようだ。

 国連総会が緊急特別会合で、エルサレムをイスラエルの首都と認めた米政権を批判し、認定の撤回を求める決議案を採択した。

 節操のないことに、トランプ米大統領は採決前、決議に賛成する国には経済支援を削減するとの警告を発していた。結果は、賛成が日本を含め128、反対が9。棄権は35だった。

 決議に拘束力はないものの、国際社会はトランプ大統領の判断に明確にノーを突き付けた。認定に固執すれば、外交上の大きな痛手となるだけでなく、軍事衝突やテロを誘発しかねない。米政府は直ちに取り消すべきだ。

 トランプ大統領が首都認定と米大使館の移転を公表したのは、今月6日だった。パレスチナとイスラエルによる「2国家共存」を目指し、両国間の和平交渉でエルサレムの地位を決める、との方針を一方的に転換した。

 深刻な影響が出ている。

 米国への抗議デモは、中東のイスラム諸国にとどまらず、パキスタンやマレーシア、インドネシア、欧州へと広がっている。

 パレスチナとイスラエル軍との間で武力衝突も繰り返されている。イランの有力な聖職者は反イスラエル闘争を呼び掛け、過激派組織イスラム国(IS)は米本土への攻撃を予告した。

 トランプ大統領は、中東和平に向けて「新たなアプローチを始める」とも宣言したが、具体的な内容は定かでない。シーア派のイランと対立するスンニ派のサウジアラビアやエジプトを抱き込み、パレスチナに圧力をかける狙いがあるとされる。

 イラン敵視で結集したところで真の和平は実現しない。米国が独断専行を続ければ、中東の分断に拍車をかけることになる。

 いずれにせよ、このままでは米国に和平交渉の仲介役を期待することはできない。国連加盟国は今回の決議を機に、協力して交渉再開の道を探ってほしい。

 パレスチナには、日本に新たな仲介役を求める声がある。米国の拒否権で否決されたけれど、日本は今回、国連安全保障理事会でも議長国として、首都認定の撤回を求める決議案に賛成した。

 とはいえ、北朝鮮対応を重視する安倍政権は、トランプ大統領の不興を買わないよう慎重な構えを崩していない。いさめるべきはいさめるのが同盟国の役割だ。米国の顔色をうかがうばかりでは、国際社会の信頼は得られない。

(12月24日)

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