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森林税の検証 苦言を呈す人はいるか

 森林税(森林づくり県民税)の継続を強く求めた組織が、その使い方も検証する。こんな体制で適正な運用ができるとは思えない。

 来年度から5年間の課税継続が決まった森林税について、税を活用した事業を毎年度、検証・評価する仕組みを県林務部が示した。条例改正で新たに盛った規定に基づく。

 第三者組織の「みんなで支える森林づくり県民会議」が事業を検証し、県が新設する庁内組織「推進会議」が見直しを検討。その結果を再び県民会議に示して意見を聞き、見直し内容を決める。

 森林税のあり方を巡っては専門家らの「地方税制研究会」に「既得権化、ブラックボックス化している」と批判された。

 これを踏まえ慎重を期した体制のように見えるが、問題がある。県民会議の客観性だ。

 森林税が導入された2008年度につくられた組織で、森林づくりを推進するため県が意見を聞くのが目的だ。「県民の代表」というものの委員13人の顔触れは、森林税を使う立場の林業経営者や森林組合幹部、税を財源とした支援金を受ける市町村の代表が目立つ。いわば受益者だ。

 今回の森林税継続を巡る論議では、税制研が継続に慎重な姿勢を示したのに対し、県民会議は「全委員一致した意見として」「継続を強く要望する」と提言した。この組織が中立の立場で事業の検証ができるのか、首をかしげざるを得ない。

 年間に個人が500円、法人は資本金などに応じて千〜4万円を県民税に上乗せ課税している森林税は、使いきれずにたまり続けていることが問題になった。基金として積み上がった額は6億円に達する見込みだ。1年分の税収総額にほぼ匹敵する。

 過大な森林整備計画とその予算の消化圧力は、県の現地機関が不正な事務処理をしてでも補助金を交付する遠因になった。14億円余に上る大北森林組合不正受給事件だ。森林税の2億円余も含まれる。再発防止のためには、税の使い方を厳しい目で見ていかなくてはならない。

 森林整備が思うように進まないまま県は来年度から使途を観光や教育などの分野に拡大する。県民会議の委員もこの分野の人を新たに加えることを検討している。受益者側を増やすだけではないか。

 本当に検証する気があるのなら、森林税のあり方にさまざまな苦言を呈した税制研のメンバーを入れたらどうか。

(12月25日)

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