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大火から1年 糸魚川復興に支援を

 中心市街地の約4万平方メートルを焼いた新潟県糸魚川市の大火から1年が過ぎた。

 住宅や店舗の建設は進んだが、まだ更地も目立つ。防火対策を強化しつつ歴史ある街並みをどう再生するか。課題解決の実践を応援したい。

 昨年12月22日午前、ラーメン店から出火、強い南風で次々に燃え移った。消火に手間取り147棟を焼いた。死者はいなかったが、消防団員ら17人がけがをした。

 延焼の拡大は強風のせいだけではない。古い町家風の木造家屋が密集し、それを「雁木(がんぎ)」と呼ばれる庇(ひさし)がつないでいた。

 雪よけの雁木造りが連なる本町通りは江戸時代から続く街並みで、加賀百万石の参勤交代も通った。貴重な観光資源でもある。火に弱いからといってなくすわけにはいかなかった。

 被災者や市民の声を聞いて市がまとめた「復興まちづくり計画」では、雁木造りを不燃化して再生するのを支援する。それによって通りを「延焼遮断帯」にする構想だ。伝統と防火の両立を図る試みとして注目したい。

 計画にはほかに教訓に基づく新たな取り組みがいくつもある。

 火元のラーメン店が留守で火災の発見が遅れた。このため隣接する建物間で警報器を共同設置し、火元以外の建物でも連動して作動するようにする。

 強風による飛び火を予測して延焼前の予備放水ができるよう、高所監視カメラを設置し、ドローンも活用する―などだ。他の自治体の防火対策の参考になりそうだ。

 住宅の再建には被災者生活再建支援法が火災として初めて適用された。本来は地震や津波などの自然災害が対象だが、強風で延焼した「風害」に当たると国が判断した。「全壊」からの再建で最大300万円、「大規模半壊」で最大250万円が支給される。

 柔軟な運用は評価できる。ただ、「半壊」で住めなくても支援の対象外の不備は残ったままだ。

 市の9月時点の調査では被災地に住んでいた108世帯のうち再建の意向を示したのは約半数だ。実際に再建したのは2割に満たない。市外に転出した世帯もある。

 隣近所で声を掛け合って避難する地域のつながりがあった。それを壊さずに生活を立て直す方策にさらに知恵を絞りたい。

 にぎわいのある街づくりに向け、市は日本海や海の幸の魅力を発信し、長野県からの誘客強化を掲げる。復興支援のため隣接県ができることは今もある。

(12月26日)

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