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「信州の特色ある縄文土器」県宝に 県教委が諮問へ

尖石遺跡の「蛇体把手付深鉢形土器」尖石遺跡の「蛇体把手付深鉢形土器」
 県教育委員会は県内各地で出土した縄文土器約160点を県宝に包括指定するよう、来年1月末の県文化財保護審議会に諮問する方針を固めた。人面や動物の装飾など、共通の特徴がある土器を「信州の特色ある縄文土器」と定義し、「土器群」として文化財活用などに役立てるのが狙い。県教委によると、複数の市町村にまたがる包括指定は全国初の試みとみられる。

 県宝指定を目指すのは、尖石(とがりいし)遺跡(茅野市)の「蛇体把手(とって)付深鉢形土器」や榎垣外(えのきがいと)遺跡(岡谷市)の「顔面把手付深鉢形土器」、月見松遺跡(伊那市)の「顔面把手付大深鉢形土器」、大野遺跡(木曽郡大桑村)の「顔面付深鉢形土器」など。出土場所は中南信地方を中心に、東は南佐久郡川上村、西は木曽郡大桑村まで、現時点で18市町村に及ぶ。

 縄文土器に詳しい立命館大文学部(京都市)の矢野健一教授によると、顔面模様は精霊信仰の象徴とされ、八ケ岳山麓で出土例が多く、ヘビなどの動物装飾は生命力を象徴すると考えられている。

 これまでの研究で、縄文中期(約5500〜4500年前)の八ケ岳山麓には大規模な集落があり、千年にわたって県内外に点在する集落と交流したことが分かっている。矢野教授は「八ケ岳山麓の土器は土偶と共に信仰の象徴として、集落の交流を通じて各地に広まったと推測される」と話している。

 県宝指定を目指す土器の中には、前尾根遺跡(諏訪郡原村)の「顔面付釣手土器」など地元市町村が文化財指定していないものが多い。

 県教委文化財・生涯学習課は包括指定することで、県内出土の土器への関心が高まったり、研究や活用が活発になったりすることを期待。市町村ごとでは難しかった合同展示会開催なども可能になるとみている。

(12月27日)

長野県のニュース(12月27日)