長野県のニュース

慰安婦問題 日韓合意を土台に前へ

 旧日本軍の元従軍慰安婦たちは高齢化が進み、年ごとに亡くなっている。韓国政府は本来なら日本との合意に基づき、一刻も早く救済を図るべきだ。

 合意は2年前のきょう、朴槿恵前政権下で結ばれた。日本が軍の関与の下に女性の名誉と尊厳を傷つけたと認め、安倍晋三首相がおわびと反省を表明。日本政府は元慰安婦を支援する韓国の財団に10億円を拠出する―との内容だ。

 ところが、朴氏が罷免され失職し、合意の無効化と再交渉を掲げた文在寅氏が大統領に就任。韓国外務省は7月、合意の成立経緯を検証する作業部会を発足させた。

 その結果がきのう発表された。

 合意に至る過程で「被害者の意見を十分に集約せず、主に政府の立場から決着させた」と結論づけた。2015年だけで計15回、被害者や関連団体と協議、面談をして意見集約したという朴政権とは異なる見解だ。

 また、元慰安婦の支援団体に対する韓国政府の説得など「非公開部分」があったことも明らかにしている。団体側の反発が強まる心配がある。

 ただ、韓国外相は日韓関係に及ぼす影響を考慮し、今後の対応を慎重に決めるとしている。

 生存する元慰安婦32人のうち24人は既に現金支給を受けたか受ける意向を示している。しかも、合意は「最終的かつ不可逆的に解決される」と約束したものだ。

 もし覆せば救済が遅れるだけでなく、国際社会の信用も失う。核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対処するためにも日韓関係の悪化は避けなければならない。韓国政府は冷静に判断してほしい。

 元慰安婦の補償問題の難しさは、日韓の法的な戦後処理が終わった後に表面化したことにある。

 日本と、その植民地支配を受けた韓国は1965年、韓国に計5億ドルを供与し、補償問題は「完全かつ最終的に解決された」とする請求権協定を結んだ。長い沈黙を破って元慰安婦が名乗り出たのは26年後のことだ。

 その補償は「解決済み」か「協定の対象外」かで日韓の対立が続いた。村山富市政権が民間の協力で設立した「アジア女性基金」からの「償い金」は、国家賠償を求める元慰安婦側の受け取り拒否により支給できたのは対象者の3割弱にとどまった。

 この教訓から2年前の合意は韓国側が事実上の賠償と解釈できる余地を残しての決着とした。一方的に否定するのでは問題の打開は遠のくばかりだ。

(12月28日)

最近の社説