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木曽の目 重力波の源にらむ 観測所望遠鏡に高機能カメラ

新たなカメラを組み込む東大木曽観測所のシュミット望遠鏡=木曽町新たなカメラを組み込む東大木曽観測所のシュミット望遠鏡=木曽町
 東大木曽観測所(木曽郡木曽町)などのグループが、広い範囲を高速撮影できる新開発のカメラを観測所内の望遠鏡に取り付け、来年2月から観測を始めることが28日分かった。今年のノーベル物理学賞につながった重力波の発生源を短時間で突き止め、現象の解明に寄与できるほか、地球に衝突する恐れのある小天体をいち早く発見することも可能になるという。

 新たなカメラは、平安末期の武将木曽義仲とともに戦ったとされる巴(ともえ)御前にちなんで「Tomo―eGozen(トモエゴゼン)」と命名。同観測所も所属する東大天文学教育研究センター(東京都三鷹市)が5年前から開発を進めてきた。

 CCD(電荷結合素子)センサーを使った従来のカメラは撮影間隔が90秒だったが、画像処理が速いCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサーを球面状に84枚並べ、撮影間隔を0・5秒に大幅短縮した。来年2月半ばにまず4分の1を取り付け、テストを開始。全体を取り付けた本格運用は来秋以降になるという。

 同観測所にあるシュミット望遠鏡(口径105センチ)はもともと広い視野が得られる特長があり、撮影範囲が広がる新開発のカメラを本格運用した場合、世界にある望遠鏡で第2位の視野の広さになるという。1カ所を0・5秒間隔で撮影すれば動画のように捉えられ、撮影する場所を1枚ずつ変えれば2時間で全範囲を撮り終える。これだけの広範囲を高速撮影できるカメラはほかにないという。

 ブラックホール同士の合体で重力波が発生した場合、光を出さないためトモエゴゼンでは手掛かりを得られないが、高密度な恒星「中性子星」の合体による場合は光が生じ、撮影できる可能性がある。米国や欧州の重力波望遠鏡でまず重力波を捉え、世界各地の天文台が情報を受けて一斉に観測するが、発生源の絞り込みには時間がかかる。8月には中性子星が合体して出た重力波と光が初めて同時観測されたが、光を捉えるまでに11時間かかった。

 だがトモエゴゼンを使えば広い視野を得られ、動画並みの高速撮影でわずかな変化も見つけることができ、5〜30分で発生源を絞り込めるという。この情報を各天文台に伝えることで、発生間もない時点の現象を詳しく調べ、解明に役立てることが可能という。

 また、地球に迫る小天体を素早く見つけ、星が一生の最後に起こす「超新星爆発」の瞬間を捉えることも目指す。東大天文学教育研究センターの酒向重行助教(41)は「高感度な監視カメラを空に向けているイメージ。想定していない現象が見つかれば面白い」と話している。

(12月29日)

長野県のニュース(12月29日)