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「なぜマスコミはこんなに騒ぐのか」。近ごろ聞かれて困ったのが大相撲界の混乱だ。元横綱日馬富士関の暴行事件発覚から1カ月半。視聴率が期待できて取り上げやすいのでは―と答えたものの、ふに落ちないことが多い騒動である

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昔からいわれる「江戸の大関より土地の三段目」で、当方も御嶽海関の活躍で加わった“にわかファン”のたぐいである。貴乃花親方の理事解任決議にまで至った協会内の確執など知る由もない。ただ半月後に迫る初場所に水を差したことは間違いない

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大相撲の神髄は「勝っておごらず負けて未練を残さず」と元NHKアナウンサーの杉山邦博さんが自著で述べている。勝者のガッツポーズなど論外で、敗者も言い訳はしない。常に己と向き合い、精進を続ける。日本人が大事にしてきた「抑制の美」の伝統が息づいているという

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玉錦―双葉山戦のラジオ実況を聴いてスポーツアナウンサーを志し、土俵を60年以上見続けた人の実感だ。控えに座るときから引き揚げるまで力士の一挙一動に人生を見る。同様に貴乃花親方も日ごろから父、貴ノ花の教えである相撲道を口にしてきた

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横綱昇進の口上で述べた「不惜身命(ふしゃくしんみょう)」の精神だ。後援者の裾野を広げるサポーター制を始めるなど新風を吹かせている。抑制の美もいいが、今回は何が問題なのか具体的に語らなければファンには伝わらない。復活した相撲人気も混乱が続けば冷めていくだろう。長引きそうなのが残念だ。

(12月29日)

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