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信州の方言は多彩だ。正月休みに親族で集まった際に東御市祢津の方言を幾つか教えてもらった。〈あちゃ、ごめんなすって〉は「それでは、お先に」の意味。信濃毎日新聞社刊「長野県方言辞典」によれば〈あちゃ〉は北信でも使う

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祢津地区は方言の伝承に熱心に取り組んでいる。東部町時代の2002年、地区の活性化委員会と町教委が方言を集めた冊子「おらほ」を発行した。公民館活動の受講生や老人会の会員ら住民の協力で約950語を収録。例文やイラストで紹介している

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2010年には小学生が協力し「方言カルタ おらほ」を作った。〈あんねんまく(あんなにたくさん)チョコもらって はなぢ出すぞ〉〈いびくる(いじる)な ちゃわんがわれる ばあさまのこえ〉。カルタは毎年新入生に贈呈。小学生と保育園児のカルタ大会も恒例行事だ

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テレビの影響や核家族化で共通語が幅を利かし、方言は廃れる一方だ。だが近年では若者がカワイイという感覚で使う「方言萌(も)え」現象が起きた。東日本大震災や熊本地震では方言の応援メッセージが共感を呼び会員制交流サイト(SNS)で拡散した

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〈あんじゃねー その一言に ぬくとまる〉。本紙ひろば面に「残したい方言」を連載している方言研究者の出野憲司さんが作ったカルタの一句。「大丈夫だよ、と言われて心が温まる」との意味だ。どこか懐かしく響く方言には温もりがある。それが人と人をつなぐ力にもなるのだろう。

(1月5日)

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