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働き方改革 残業規制の優先審議を

 時間外労働(残業)の規制が早急に求められている現状を、政府は理解しているのか。

 厚生労働省が働き方改革関連法案の施行日を1年程度延期する検討を始めた。法案は22日召集の通常国会に提出され、成立すれば2019年4月施行の予定だった。

 法案は、残業の上限の法定化や、正社員と非正規労働者の不合理な格差をなくす「同一労働同一賃金」の導入などが柱である。

 予算案審議が優先される影響で、法案成立は5月以降の見通しになる。施行まで1年未満になるため、労使の対応時間が不十分になることが延期の理由だという。

 法案は当初、昨年秋の臨時国会で最大の焦点になるとみられていた。それが安倍晋三首相の突然の衆院解散で、国会提出が延期された経緯がある。

 広告大手電通で女性新入社員が過労自殺して問題となった後も、過労死は後を絶たない。正社員と非正規の格差も改善していない。残業規制と非正規の待遇改善は喫緊の課題である。政府の都合で施行日を先延ばしにすることは認められない。

 ただし、法案には問題も多い。

 第一に残業規制法案が上限を「月100時間未満」に設定していることだ。残業が100時間に達していなくても労災認定されるケースは少なくない。これまで青天井だった残業時間に上限を新設することは一歩前進にはなるものの、過労死や過労自殺をなくす当初の目標には程遠い。

 国会で上限を低くするように法案を修正するべきだ。

 第二に、法案が「高度プロフェッショナル制度」の創設と、裁量労働制の対象拡大を抱き合わせにしていることだ。

 高プロ制度は、一部専門職を残業代支払いなど労働時間規制から外す。裁量労働制は、実際の労働時間に関係なく、あらかじめ決めた時間を働いたとみなす制度だ。いずれも長時間労働を助長しかねない。これを残業時間規制と合わせて審議し、一括して賛否を問うことに矛盾がある。

 野党は残業規制には賛成しているものの、高プロ制度には反対の主張が目立つ。このままでは実のある審議は望めまい。

 効率的で充実した審議を進めるため、残業規制と非正規の待遇改善を法案から分離して優先審議すべきだ。早期成立させ、施行日は予定通りとしなければならない。

 高プロ制度と裁量労働制拡大は先送りして、慎重に問題点を審議する必要がある。

(1月6日)

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