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ゲレンデの外 遭難対策を急がねば

 バックカントリースキーによる遭難が増えている。

 昨年1年間に県内では30件発生し、44人が遭難した。前の年に比べ件数で4倍以上、人数では3倍以上である。

 外国人のケースが目立つ。土地勘のない山で、ゲレンデの延長を滑る感覚のまま雪の山に入っていないか気にかかる。

 誘客の段階や宿泊施設で禁止行為、危険箇所を徹底するなど、防止の取り組みを強めたい。

 気象学の本を開くと、日本の山は世界で最も雪の多い地域の一つと書いてある。大陸からの季節風が日本海を渡る間に湿気を含み、列島に雪を降らせる。

 冬の間、山には新しい雪が供給され続け、ふかふかのパウダースノーになる。この雪を目当てに、外国からも大勢のスキーヤーが訪れるようになった。

 遭難の多くはゲレンデにつながる斜面で起きている。リフトやロープウエーで最上部まで上がり、コースから外に出て滑る間に道に迷う、深い雪のため進退窮まる、といったパターンだ。

 昨年も、▽1月16日、野沢温泉スキー場でオーストラリア人親子4人が行方不明▽2月4日、志賀高原横手山スキー場で中国人男性が道に迷い動けなくなる、といった遭難が相次いだ。

 1月30日には新潟県かぐらスキー場から入山した外国人スキーヤーとガイド計8人が一時行方不明になり、翌日長野県側の栄村に自力で下山した。大量遭難になりかねないケースだった。

 バックカントリースキーには特有の危険がある。スピードが速く、短時間で長い距離を滑り降りる。コースを間違えると登り返すのは難しい。雪が軟らかいため踏ん張りがきかないのだ。

 過去の遭難を見ると、道に迷っても引き返すことができず深みにはまった例が多い。

 スキー観光は長野県経済を支える柱の一つである。ゲレンデの外の遭難にどう対処するか、議論を深めるときに来ている。

 野沢温泉村は8年前、スキーヤーの自己責任を明記した条例を定め、コース外事故については救助費用の弁償を求めている。参考にしたい取り組みの一つだ。

 ゲレンデから外に出ればそこは正真正銘の冬山である。転落、滑落、雪崩、道迷いなどの危険が待つ。踏み込む人には高度な技術と知識、ビーコン(電波受発信器)などの装備が必要になる。

 雪山の危険をスキーヤーに徹底するのが対策の最初の一歩だ。

(1月7日)

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