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諦めず粘り強く―。全国高校サッカー選手権準決勝の晴れ舞台でプレーする上田西イレブンは終始押されながらも堂々として見えた。前回準優勝の前橋育英はここまで無失点。その隙を突きネットを揺らしたのも粘りのたまものだった

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県勢初のベスト4。飛び抜けた技術の選手がいるわけではない。全員でひた向きに守り攻める。一戦一戦、勝つたびに成長していく。ドラマのような快進撃に胸が躍った。白尾秀人監督がよく口にする「泥くささ」が十分通用することを証明してみせた

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かつて佐久市に開校したばかりの通信制チームを率いて選手権の初戦を飾った松本育夫さんに「オフ・ザ・ピッチ」の大切さをうかがったことがある。サッカーは監督の指示を待つのではなく選手自身が自分は何をすべきかを瞬時に考え、次の行動に移らないとゲームにならない

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ボールがなくても次の動作を考える。だから「オフ」のときの心構えが重要―と。上田西の“全員プレー”にもこの姿勢が垣間見えた。ゴールキーパーは気持ちを途切れさせず連続シュートに食らい付く。一人一人やるべきことをやる。悔いはあるまい

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選手の多くは小中学生のときから地元の社会人クラブチームの指導を受けてきた。その一つ上田ジェンシャンは活動趣旨に「ジュニアの憧れや目標になる」とうたう。地域での育成活動の広がりが高校のレベル向上につながった。信州サッカーの可能性を膨らませた上田西の大健闘である。

(1月7日)

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