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発達障害早期発見 保健師が鍵握る? 信大が岡谷で調査

岡谷市の乳幼児健診で子どもの発育状況を尋ねる保健師(左)。健診記録を基に発達障害の早期発見や支援に向けた研究が進む=岡谷市保健センター岡谷市の乳幼児健診で子どもの発育状況を尋ねる保健師(左)。健診記録を基に発達障害の早期発見や支援に向けた研究が進む=岡谷市保健センター
 生後間もなく始まる乳幼児健診で、保健師が、厚生労働省推奨の発達障害の兆候を把握するチェックリストを用いるより、面談結果などを基に独自に判断した方が発達障害の兆候を高い確率で捉えている可能性があることが、信州大医学部精神医学教室の篠山大明(だいめい)准教授(42)=児童精神医学=らのグループの研究で明らかになった。一般に、発達障害は小学校入学前後の診断で明らかになるケースが多いという。篠山准教授は、保健師が着目している点を調べ、健診の項目などに生かせば、発達障害の早期発見、支援につながるとしている。

 篠山准教授らのグループは2015年12月に研究を開始。岡谷市で09年度に生まれ、11年度に1歳半健診を受けた211人のうち、小学校入学前に諏訪郡下諏訪町の医療型障害児入所施設「信濃医療福祉センター」で発達障害の一つ「自閉症スペクトラム障害(ASD)」と診断された11人について、1歳半健診時の状況を調べた。

 同市は、米国で開発され、厚労省が10年度から推奨しているASDの兆候を把握するチェックリスト「M―CHAT」(エムチャット)の短縮版(9項目)を導入した。「何か欲しい物がある時、指をさして要求するか」「親のすることをまねするか」といった問いに「はい」「いいえ」で回答する。調査した11人のうち、一つでも該当したのは5人(45%)だった。

 一方、同じ健診で保健師は、面談などの結果を基に独自に判断をしており、「発達障害の可能性があり、経過観察が必要」とした人が11人のうち8人(72%)いた。保健師が何に着目したかは詳しく分かっていないが、M―CHATには盛られていない健診前後の子どもの言動などを考慮している保健師がいたという。

 篠山准教授は「地域全体の子どもを漏れなく捉え、成長に従って追跡することで精度の高いデータが得られる」とし、10、11年度に生まれた子どもについても調べる予定だ。

 研究に協力している信濃医療福祉センターの工藤哲也・臨床心理士(60)は「保健師が重要なポジションにいることが研究で分かってきた。人材確保や育成など態勢整備の上で課題になる」としている。

(1月11日)

長野県のニュース(1月11日)