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世界のスポーツ界には「パラ・ドーピング」という言葉があるのを知った。他選手の飲み物などに禁止薬物を混入しドーピング違反のわなに陥れる。ライバルを蹴落とす陰湿な行為だ。はめられないように警戒するのは今や常識らしい

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早稲田大教授の友添秀則さん(スポーツ倫理学)によれば、記者会見の会場に飲料水が用意されていても、手を出さない選手が多い。陸上ハンマー投げの五輪金メダリスト室伏広治さんは選手村で食事の席から離れる時は必ず誰かに見させていたという

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若手の台頭に渦巻いていたのは焦りか嫉妬か。東京五輪を目指していたカヌーのトップ選手が若手選手の飲料に筋肉増強剤を混入。飲んだ選手はドーピング検査で陽性になり、資格停止処分を受けていた。トップ選手が連盟幹部に告白し事実が分かった。良心の呵責(かしゃく)ゆえだろうか

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日本スポーツ界にとって前代未聞の不祥事だ。薬物汚染が広がっていない証左だが安閑としてはいられない。薬物の魔性の力は強い。問題の筋肉増強剤は手軽に購入できる。ネットの個人輸入代行のサイトには筋肉量が増えたなど効果のコメントが並ぶ

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スポーツと薬物使用は古くから光と闇の関係にある。紀元前3世紀に興奮性の物質が使われたそうだ。名誉や地位、金も得られる勝利への人間の欲求は果てがない。近未来は遺伝子操作の技術が悪用される恐れがある。「反ドーピング」の旗をスポーツ界のみならず市民も一緒に掲げねば。

(1月11日)

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