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バス事故2年 根本の問題は未解決だ

 乗客の大学生ら15人が亡くなった痛ましい事故の教訓を風化させてはならない。あらためてその思いを胸に刻む。軽井沢町で起きたバス転落事故から、あすで2年になる。

 再発防止に向けた取り組みは緒に就いたばかりだ。月日とともにおろそかにならぬよう、業界の姿勢と、監督する国の対応を厳しく見ていく必要がある。

 スキーツアーのバスが下り道でカーブを曲がりきれず、道路外に転落した。国土交通省が委託した事故調査委員会は、運転手の操作ミスを直接の原因としつつ、運行会社のずさんな安全管理が事故につながったと指摘している。

 国交省が再発防止策の柱とする改正道路運送法は一昨年末に施行された。安全確保を怠った業者への罰則を重くし、事業許可を5年の更新制にしたほか、業者への監査態勢の強化に重点を置く。

 国の監査が追いついていない実態を踏まえ、人員増に加えて、民間の指導員が巡回指導して監査を補完する仕組みを新たに導入した。全国10カ所に「貸切バス適正化センター」を設け、昨年8月から動きだしている。

 けれども、指導員はまだ全国に30人ほどしかいない。5700カ所以上ある営業所を年1回は巡回する目標の達成にはほど遠い。巡回指導に強制力はなく、不正を見抜く力量がある指導員をどう確保するかは大きな課題だ。

 適正化センターはバス業者の負担金で運営する。指導員を増やせば業者の負担増につながり、安全管理の費用にしわ寄せが及ばないかと懸念する声も出ている。国が定める基準運賃の引き上げなども併せて進める必要がある。

 事故後、県内業者への行政処分の件数は事故前と比べ6割近く増えている。監査態勢の強化に加え内部告発も増えたというが、安全をなおざりにする業界の体質の根深さがにじむ。

 上田の業者は乗務記録を改ざんして運転手の長時間勤務を隠していた。この業者に限らず、法令で定められた休息を取らずに乗務する実態は事故後もなくなっていない、と指摘されている。

 事故の背後には、参入規制の緩和による過当競争から生じた構造的な問題がある。業界への監督・指導を強めても根本的な解決につながるわけではない。

 国交省の再発防止策はその点で十分とは言えない。運転手の過重労働の是正をはじめ、踏み込んだ対策を欠いたままでは、再び惨事が起きる心配は消えない。

(1月14日)

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