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信州が生んだ俳人の物語だ。何とか日の目を見させたい。映画「一茶」である。製作会社の破産で公開の見通しが立たない状態にある。藤沢周平の同名の小説をNHK大河ドラマ「独眼竜政宗」などを手掛けた吉村芳之監督が映画化した

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県内ロケを含む撮影を経て、編集はほぼ終わっている。ところが製作会社の経営が行き詰まり、東京地裁が破産手続き開始を決定した。ロケ誘致の窓口になった信州いいやま観光局など、県内の団体が立て替えた撮影費用も回収の見込みが立たない

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製作に携わったプロデューサーによると映画はあと1週間もあれば完成する状態だという。ただ映画館にかけるには委託費用などが必要になる。関係者は「映画『一茶』を救う会」を立ち上げて公開への努力を続けている。エキストラで出演した県民も多い。お蔵入りにはしたくない

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映画は見た人に強い印象を刻み付ける。長く記憶に残り、舞台となった場所のイメージを育み続ける。例えば大林宣彦監督の「転校生―さよならあなた」では長野市の善光寺周辺の街と人模様が実に魅力的に描かれていた。いつか足を運びたくなる

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今度の問題は映画の実情を改めて照らし出す。長期低迷から抜け出せない。映画館の入場者は年間1億8千万人でピーク時の6分の1。東宝、東映、松竹の大手3社は製作から撤退し、独立プロダクションがほそぼそ頑張っている。映画人の情熱を応援する仕組みを考えることはできないか。

(1月14日)

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