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商工中金 民営化を急がなくては

 民営化につながるのか疑問である。

 不正融資問題を起こした政府系金融機関の商工中金の抜本改革である。経済産業省の有識者会議が提言をまとめた。経営改革を進めて、4年後に完全民営化の可否を判断するよう求めている。

 玉虫色の決着といえるだろう。

 不正の温床になった公的制度「危機対応融資」は、災害対応を除いて原則撤退する。今後は地方の中小企業の経営改善や事業再生に注力するという。

 提言には法的拘束力はなく、政府が約46%を出資する現状を継続させる余地も残している。4年後に改革できていなければ、「民営化は難しい」として、再び先送りするつもりなのだろうか。

 経産省は商工中金に歴代トップを送り込んできた。提言には、完全民営化を回避したいという本音ものぞいている。

 商工中金は、民間金融機関の融資を奪っているという理由で、2005年に完全民営化の方針が決められた。

 それが延期されたのは、08年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災で、資金繰りが悪化した企業に低利の危機対応融資を実施し、存在感が高まったためだ。

 今回の不正では、その危機対応融資が悪用された。

 書類を改ざんして、本来は対象にならない企業も対象になるように見せ掛け、民間金融機関より低い金利で融資していた。関与したのは、国内100店舗のうち97店舗に上った。

 危機対応融資からの撤退は当然だ。金融危機時の資金繰り支援は、信用保証制度を拡充すれば、民間金融機関を窓口にすることもできる。商工中金が半官半民の現状を継続する理由はない。民営化の期日を定め、早急に準備作業に取り掛かるべきである。

 新社長には、プリンスホテルの関根正裕取締役常務執行役員が内定した。金融機関や西武グループで事業の再建に実績を残してきたことが評価された。

 課せられた役割は大きい。今後の柱とする中小企業の経営改善や事業再生は、担保や保証に頼らないで企業の可能性を見極める「目利き」が必要とされる難しい分野だ。経営を抜本改革し、ノウハウを積み上げることが必要になる。業務縮小に応じた社員や店舗のリストラも求められるだろう。

 抜本的な経営改革ができなければ組織として存続は許されない、という覚悟が必要だ。玉虫色の提言に甘えてはならない。

(1月16日)

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