長野県のニュース

外国人実習生 制度のひずみあらわに

 「技能実習」の名の下、日本で働く外国人が過酷な環境に置かれている実態の一端が浮き彫りになった。本来の趣旨から懸け離れ、安い労働力の確保策となっている実習制度のひずみはあらわだ。廃止を含め、抜本的な見直しが欠かせない。

 労災による死亡と認定された外国人実習生が、2016年度までの3年間で22人いることが分かった。10万人あたりで3・7人に上る。国内の雇用者全体の1・7人と比べ2倍以上高い。

 大半は事故とみられる一方、過労死も1人いた。技能実習をめぐっては労災隠しの横行がかねて指摘されている。実際はさらに多くの実習生が、過労死を含め労災で死亡している可能性が高い。

 過労死したフィリピンの男性は岐阜県内の鋳造会社で働いていた。過労死の認定基準を上回る月100時間前後の時間外労働が続き、心疾患で亡くなったという。27歳だった。

 管轄の労基署が母国の遺族に手続きを促したことで労災認定につながった。泣き寝入りすることがないよう、厚労省は労災の掘り起こしと補償、救済への積極的な対応を今後さらに図るべきだ。

 技能実習制度は元々、国際貢献を目的に1993年に始まった。日本で働いて母国に技術を持ち帰ってもらう趣旨である。ところが、建設業をはじめ人手が足りない業種で低賃金の労働者を集める手段となってきたのが実態だ。

 最低賃金に満たない賃金での過重な労働、賃金の不払い、雇い主による暴言や暴行…。労働者としての権利や人権が顧みられない劣悪な職場で働くことを強いられる実習生は少なくない。

 失踪する実習生も相次ぐ一方、強制帰国させられるのを恐れて雇用主に逆らえない、いびつな力関係を生んでいる。多額の借金をして来日する実習生が依然多いこともその背景にある。

 政府は、受け入れ対象の職種に介護を加えるなど制度を拡大し、併せて実習生の待遇改善や実習先の監督強化を図ってはいる。パスポートを取り上げるといった人権侵害には罰則も設けた。

 けれども、実習生が原則、職場を移れないことは変わらない。監督強化のため新たに設けた「技能実習機構」が実質的な役割を果たせるのかも見えない。

 実習生の権利や尊厳を損なっている制度は、根幹から改めなければならない。理念と実態が乖離(かいり)したまま受け入れを拡大すれば、矛盾は深まるばかりだ。

(1月16日)

最近の社説