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一極集中是正 地方大振興と言うなら

 東京の大学の定員を抑えれば地方は活性化する。そんな短絡的な発想で法律をつくっては困る。

 政府は東京23区内の大学定員増を原則10年間認めないとする一極集中是正の関連法案をつくり、22日召集の通常国会に提出する方針である。

 全国の大学生の2割が東京23区に集中し、近年はさらに増加傾向にある。大学進学を機に地方を離れ、そのまま就職で東京圏に残る若者が多い。

 だからこれ以上、大学の定員を増やさず東京に若者が流れるのを止めたい。そんな全国知事会の要望を政府がくんだ。

 だが、東京の大学を出た若者があまり地方に戻らないのは、希望する就職先が少ないことが大きな要因だ。大学定員を抑えて解決する問題ではない。

 一極集中是正のため優先すべきは地方の雇用の確保である。

 企業の本社機能の地方移転や地方採用枠、地域限定社員の導入などを促す施策を強く進めるべきだろう。

 大学が多い都会で学生が学ぶことは地方にとってマイナスではない。さまざまな勉強をした若者たちがUターンできれば、地域の活力になる。定員抑制は時代に合った学部・学科の新設を妨げ、学生の選択の幅も狭めてしまう。

 法案には地方大学の振興に向けた交付金制度も明記される予定である。

 定員割れが少なくない地方大学にとって必要な支援ではある。既に来年度政府予算案で100億円が計上されている。

 問題は、産業にすぐ役立つ研究に偏ることだ。

 企業、自治体、地方大学の「産官学」の共同事業を国が審査し、1件当たり年間最大10億円を交付する。国はバイオ医薬品や介護ロボットの研究・開発などを例示している。

 これでは中央集権を地でゆく国による誘導だ。人文系の分野はますます軽視され、研究環境の充実は望めない。

 地方大学に学生を引きつけるというなら、もっと多様な研究への支援が必要である。

 4月に開学する長野県立大学は児童養護施設の出身者、生活保護家庭などの低所得世帯の学生は、授業料を減免する方向で検討している。予算が許せば対象をもっと広げたいところだ。

 経済的な事情があっても意欲さえあれば学べる。それも地方大学の魅力の一つになればいい。国が目を向けるべき点である。

(1月17日)

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