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よく磨いた金属の表面のように緑色の羽がきらめいている。本州などに生息する甲虫ヤマトタマムシだ。光の当たり方や見る角度によって虹のごとく色が変化する。どちらにも解釈できるあいまいな決着を「玉虫色」という由縁である

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希望と民進が統一会派結成に向け交わした合意文書。焦点の安保関連法はまさに「玉虫色」だった。〈違憲と指摘される部分を削除することを含め、必要な見直しを行う〉。政治に妥協は必要としてもこれでは安保法をどう扱うのか有権者には見えない

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その合意からわずか2日後に破談になった。野党最大会派のポジションを獲得するために無理を重ね、根幹の違いを糊塗(こと)した揚げ句である。希望は反対する議員を「分党」という奇策で切り離そうとした。民進の分裂から始まった再編劇は議会政治に傷を残してひとまず幕引きだ

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タマムシの羽は光の屈折率が異なる20ほどの薄い層が重なる。表面には直径10ミクロンほどの正六角形のくぼみが隙間なく並ぶ。光が当たるとある色が強まったり別の色が弱まったりする。この発色の仕組みを「構造色」と呼ぶ。命が絶えても長く色あせない

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羽は古くから珍重され法隆寺の国宝玉虫厨子(たまむしのずし)にも約5千匹分の羽が装飾に使われた。大半がはがれたこともあり日本鱗翅(りんし)学会が1960年、複製を作った。全国の小中学生に呼び掛けて1万5千匹余のタマムシを集めたという。野党の復元もまずは党をじっくり磨かねば、すぐに色あせる。

(1月19日)

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