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多彩な木やり 信大生 譜面に 来月報告会

御柱祭が行われた宮原神社を訪ねた信州大生ら=2017年11月、松本市入山辺御柱祭が行われた宮原神社を訪ねた信州大生ら=2017年11月、松本市入山辺
 信州大人文学部(松本市)の芸術コミュニケーション分野の学生たちが、県内各地で口頭で伝承されている「木やり」を譜面で記録する取り組みを進めている。地域ごとに節回しや歌詞が異なる木やりを譜面に起こすことで、特徴を探り、後世に伝える可能性も探る。昨年は松本地方の神社で7年目ごとの御柱祭が行われ、学生たちは氏子らと交流しつつ木やり文化への理解も深めた。2月10日午後1時から同学部で報告会を開く。

 取り組んでいるのは浜崎友絵准教授の音楽学の授業を受講する2〜4年生16人。松本市の沙田(いさごだ)神社(島立)、千鹿頭神社(神田)、須々岐水(すすきがわ)神社(里山辺)、橋倉諏訪神社(入山辺)、宮原神社(同)と、塩尻市の小野神社、上伊那郡辰野町の矢彦神社でそれぞれ行われた御柱祭で、里曳(び)きや建て御柱に足を運んで木やりを聞いたり、保存会メンバーに話を聞いたりした。

 基本的に口頭で伝えられ、歌い手やタイミングによっても大きく変わる木やりをどう譜面に書き記すか―。3年の船田紗希さん(21)は、矢彦神社の御柱祭で歌われた木やりの歌詞に、音の高低、抑揚を表す曲線を当てた=図の例1。「人によって節回しが全く違うのも木やりの良さ。最大公約数のような形で記録してみよう」と考えた。

 一方、4年の田中大暉(ひろき)さん(25)は、沙田神社などの木やりの一部を、西洋音楽の音符で記した=例2。微妙な音程を記すことができないため、捨ててしまう情報も多いが、「リズムが分かりやすく比べやすい」と選んだ。

 田中さんは調査結果を卒業論文にまとめた。譜面に記録することで、木やりごとの特徴に加え、それぞれの木やりに共通する構成も見えてきたという。小野、矢彦神社の木やりには松本、諏訪地方ではあまり見られない特徴的な音程があることも気付いた。

 学生たちは、諏訪大社も含めた各地の保存会に聞き取りも行い、少子高齢化で伝承が難しくなっている現状も把握。「木やりは時代とともに変化してきた」「録音して記録するのは便利だが、名人の節回しに画一化される懸念もある」といった声も聞いた。

 田中さんは「氏子の方たちと一緒にお酒も飲み、6年かけて準備する苦労と誇りを感じた」。茅野市出身で木やりに親しんできた船田さんは、ゆっくりと歌い上げる松本地方の木やりを新鮮に感じたといい、2月の報告会を通じて「保存会同士の交流や木やりの多様性が広まるきっかけにもなればいい」と期待する。

 浜崎准教授は「記譜を通じて学生たちが木やりを徹底的に聞いたことが重要。時代などによって変化する木やりの今を、自分たちなりに書きとどめ、次の展開につなげていければいい」と話している。

(1月19日)

長野県のニュース(1月19日)