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キュウリ病害虫AI診断 県試験場など開発着手

人工知能に学習させる画像の収集のため、キュウリの葉を撮影する県野菜花き試験場の職員=塩尻市人工知能に学習させる画像の収集のため、キュウリの葉を撮影する県野菜花き試験場の職員=塩尻市
 県野菜花き試験場(塩尻市)は国の研究機関などと共同で、キュウリの葉の撮影画像を人工知能(AI)が解析し、病害虫による被害を早期に診断するシステムの開発に乗り出した。システムが適切な対処方法も示し、病害虫被害の軽減に役立てる。熟練した観察力や知識を持たない新規就農者の栽培支援につなげることも想定。2021年度の実用化を目指す。

 計画によると、病気にかかった葉や害虫に食べられた葉などを、生産現場の農家がデジタルカメラで撮影。この画像を診断システムのAIが解析して病害虫の種類を判断し、散布が必要な農薬を提示できるようにする。

 システムの開発には、コンピューターが自ら学び、複雑なデータを分析する「ディープラーニング(深層学習)」というAI技術を活用。AIにキュウリの葉の画像を学習させ、膨大なデータの中から個々の病害虫被害にみられる一定の法則や共通の特徴を割り出せるようにする。

 県によると、病気や害虫による被害の発生初期段階では、熟練した農家でも原因を判別しにくいため、薬剤散布のタイミングが遅れ、病害虫の多発やまん延につながる場合があるという。診断システムが実現すれば、新規就農者でも農業に取り組みやすい環境づくりにつなげられる。

 診断システムの開発は国からの委託研究で、期間は5年間。国立研究開発法人の農研機構農業環境変動研究センター(つくば市)やNTTデータ(東京)、農薬製造の日本農薬(同)などと昨夏、研究開発に着手した。長野県以外にも、キュウリの産地がある21府県が参画している。

 県野菜花き試験場は、意図的に病気や害虫を発生させ、AIに学習させるための画像データ収集を担当。葉の裏表、病気の進行度などで5千枚以上を撮り分け、画像の解析や診断の技術の開発をする他の参画組織に提供する。

 早期診断が実現すれば、病害虫被害による減収の回避で生産者の所得向上に役立つほか、農薬使用量の削減にもつながる。同試験場環境部の山田和義部長は「AIのディープラーニングが、人の観察では気が付かなかったことを判別してくれる可能性もある。農家の経営安定につなげたい」としている。

(1月20日)

長野県のニュース(1月20日)