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沖縄米軍ヘリ また追認に終るのか

 米軍基地と隣り合わせで暮らす沖縄の住民の気持ちを踏みにじる行為と言うほかない。小学校の運動場に大型ヘリコプターの窓が落下した事故から1カ月余。その小学校の上空を再び米軍ヘリが飛行した。

 在日米軍は事故後、学校上空の飛行は「最大限可能な限り避ける」と説明していた。保護者らが「最初から約束を守る気がなかったとしか思えない」と憤りをあらわにするのはもっともだ。

 米軍普天間飛行場から離陸した攻撃ヘリ2機と多用途ヘリ1機が編隊で通過するのを防衛省が確認した。監視員が目視し、上空監視カメラでも記録した。3機は、伊計島と読谷村に今月相次いで不時着したのと同型機だった。

 小学校では当日の午前中、米軍機の接近を想定した避難訓練が行われ、子どもたちは事故後初めて校庭に出た。ヘリを確認したのはその午後である。

 米軍は学校上空の飛行を否定する声明を出している。レーダーの航跡や操縦士からの聞き取りで確かめたというが、詳しいデータなどを示してはいない。

 米軍機の事故やトラブルは沖縄で頻発している。窓を落下させたのと同型のヘリは昨年10月、本島北部の東村に緊急着陸し、炎上した。2016年には輸送機オスプレイが名護市沿岸で大破した。

 どちらも、一つ間違えば住民を巻き込む大惨事になりかねなかった。窓が落ちた運動場も、子どもたちが体育の授業中だった。

 にもかかわらず、詳しい原因が分からないまま、米軍は短期間で同型機の飛行を再開し、日本政府も追認することを繰り返してきた。表向き抗議はしても、結局は米軍の言いなりである。不信と反発が強まるのは当然だ。

 国民の命が脅かされている重大な事態である。政府は形だけの抗議や要請で終わらせず、原因の徹底した究明と厳格な再発防止策を米軍に強く要求すべきだ。捜査や検証への関与を妨げる日米地位協定の見直しも必要になる。

 政府は、普天間飛行場の危険を除去する「唯一の解決策」だとして、名護市辺野古で新たな基地の建設を強行している。菅義偉官房長官は今回、辺野古移設の必要性にあらためて言及した。

 けれども、米軍機の事故やトラブルは基地周辺に限らず起きている。移設すれば危険がなくなるわけではない。沖縄の過重な基地負担の軽減にもつながらない。都合よく新基地建設の正当化に結びつけることは許されない。

(1月21日)

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