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国会開幕 立法府の責任を果たせ

 通常国会がきょう始まる。昨年の衆院選で自民党は圧勝し、野党第1党だった民進党は分裂した。「1強」が強まる中で迎える本格論戦の場である。

 6年続けて過去最大を更新した2018年度予算案、政権が看板政策に掲げる「働き方改革」など論点は多い。安倍晋三首相は改憲にも重ねて意欲を示している。

 三権分立の下、行政をチェックするのが国会の役割だ。政府の方針、首相の意向に追随するばかりでは存在意義を問われる。立法府として責任を果たせるよう審議を尽くさなくてはならない。

<目に余る強引さ>

 ここ数年、巨大与党の数の力による強引な国会運営が当たり前のように続けられている。特定秘密保護法、安全保障関連法など、反対意見の強い法案の採決が強行されてきた。

 昨年の通常国会では、乱暴さが一段と際立った。「共謀罪」の法案審議だ。与党は参院で「中間報告」と呼ばれる手続きを使い、委員会採決を省略、いきなり本会議で可決した。何が処罰の対象になるのか、曖昧さを残したまま成立させている。

 加計学園を巡る問題で野党の追及が続く中、会期延長を避けて閉幕を急いだ格好だ。

 憲法に基づき、野党は臨時国会の召集を求めた。衆参いずれかの4分の1以上の議員が要求すれば内閣は召集を決めなければならないのに、首相は放置した。ようやく開いたかと思えば、冒頭の衆院解散である。

 衆院選後の特別国会で所信表明演説を行ったものの、あっさりとした内容で新味も具体性も欠いていた。どこまで国会をないがしろにするのか。与党であっても本来許せることではないはずだ。

<山積する政策課題>

 通常国会の最初の焦点は予算案の審議だ。相変わらず大盤振る舞いが続いている。長期の景気拡大で税収の伸びが見込まれるとはいえ、歳入の3割以上を借金が占める状況である。厳しい財政事情への危機感はうかがえない。

 基礎的財政収支(プライマリーバランス)を20年度に黒字化するという健全化目標の達成は先送りされた。高齢化に伴って社会保障費は増えていく。どう立て直していく考えなのか、政府に明確に説明させる必要がある。

 歳出で目を引くのは、防衛費の突出ぶりだ。6年連続で増え、3年続けて5兆円を超えている。長距離巡航ミサイルの関連費も含まれる。従来、専守防衛の立場から保有してこなかった「敵基地攻撃能力」につながる。

 政府は「防衛計画の大綱」見直し、次期中期防衛力整備計画(中期防)策定を予定する。トランプ米大統領は昨年、米国製武器の購入拡大を要求した。対米関係が優先され、必要性や妥当性の吟味が脇に置かれることはないか、たださなくてはならない。

 働き方改革では、一部専門職を労働時間規制の対象外とする「高度プロフェッショナル制度」への疑問が大きい。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の実施法案も反対論が根強い。審議時間だけを積み上げ、採決に踏み切るという繰り返しは許されない。

 実のある議論にするため、まず問われるのは与党の姿勢だ。

 自民は質問時間の配分の見直しに重ねて取り組むとしている。衆院予算委員会の配分は与野党2対8が慣例だったものの、昨年の特別国会で5対9とし、野党の時間を減らした。政府に対する国会のチェック機能を弱めることになりかねない。撤回すべきだ。

 「国会改革」の一環として、党首討論の積極的な開催も呼び掛けている。手放しで歓迎することはできない。その分、予算委員会への首相の出席を減らす可能性がある。森友、加計学園問題などで野党の追及を避けようというのなら国会の責任放棄である。

<「多弱」のままでは>

 国会論議を活性化し、政治に緊張感をもたらすには、野党の存在感も欠かせない。現状は心もとない。民進の分裂の混迷から、いまだに抜け出せない。

 民進と希望の党は統一会派結成で大筋合意しながら、土壇場で断念した。民進側が反対意見の続出で結論を見送り、希望が交渉を打ち切る展開だった。それぞれに党内の対立、亀裂の深さが浮き彫りになっている。

 もともと無理があった。両党の合意文書は安全保障関連法の扱いを巡って曖昧さを残していた。理念、政策を詰めてこその統一会派である。数合わせでは国民の幅広い支持も得られない。

 民進、希望との統一会派を拒否してきた立憲民主党は、民進系の衆院会派「無所属の会」との会派結成に含みを持たせている。

 昨年の特別国会では連携不足が課題として残った。政権に対する追及が迫力を欠く結果に終わっている。「多弱」のままでは、与党に対抗できない。それぞれ足場を固めた上で、どう協力できるのか対応を急がなくてはならない。

(1月22日)

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