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市田柿の生産低調 飯伊地方、長雨で加工向きの実が不足

みなみ信州農協の「市田柿工房」で市田柿を検品するスタッフ=高森町みなみ信州農協の「市田柿工房」で市田柿を検品するスタッフ=高森町
 飯田下伊那地方特産の干し柿「市田柿」の生産が低調だ。みなみ信州農協(飯田市)や地元農家らによると、前年比2、3割減、畑によっては同5割近く減少し、「近年にない大不作」との声もある。収穫前の長雨の影響などから柿の皮の表面に細かな線が入る「条紋」が数多く発生し、加工向きの実が不足したためで、市場価格も高めで推移している。

 同農協では、例年1200トン前後、昨季は約1300トンの市田柿を出荷した。今季は、ほぼ出荷が終わる2月末ごろまでに約千トンの出荷にとどまる見通しだ。同農協柿課の原田幸浩課長は、首都圏や関西圏の卸売業者から新たな引き合いがあっても断っているといい、「品物が無いことにはどうしようもない」。下伊那郡高森町の市田柿製造・販売の「天竜産業」は生産量が例年の4割減で、原八州彦社長(61)は「近年にないほどの大不作」とため息をつく。

 市場価格は高めに推移している。飯田市公設地方卸売市場を運営する飯田青果によると、昨年12月の1キロ当たりの平均単価は1895円で前年同期より3割以上高い。例年は大きく価格が下がる年明け以降も1800〜1600円台といい、担当者は「予想以上に高値が続いている」とする。

 県南信農業試験場(高森町)によると、柿の実の生育は昨年9月まで順調だったが、その後、実の表面に無数の線や亀裂が入り一部が黒く変色する条紋が各地で発生。条紋が出ると果肉が軟化しやすくなり、干し柿にする際の皮むきに支障が出る。収穫が始まる同10月下旬には、飯伊地方の各地で果肉が柔らかくなりすぎて加工できない実が相当数出たという。

 条紋発生のメカニズムははっきりと分かっていないが、飯田市では生柿の収穫直前の昨年10月に平年比の3倍近い降雨があり、日照不足なども影響したとみられている。同試験場の等々力(とどりき)友也技師(33)は「高品質な干し柿を作るには良い熟期に採るのが大切」と説明。今季は軟化が急激に進み収穫適期の見極めが難しかった―と分析する。

 生産者の中には、早めの収穫で被害を抑えた人もいる。飯伊地方の生産者の1人は、周辺の畑よりもやや早めに実を収穫したことで被害がかなり抑えられたといい、「生産者一人一人が判断を磨かないといけない」と話した。

(1月23日)

長野県のニュース(1月23日)