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官房機密費 「いずれ公開」の仕組みに

 使い道が一切明らかにされてこなかった予算に国民の監視の目を届かせる第一歩と受け止めたい。

 官房長官が管理する機密費(内閣官房報償費)を巡る裁判で、最高裁が関連文書の一部開示を認める判決を出した。機密費に関する最高裁としての初判断である。

 どう使ったか国民に対し明らかにすべきだとして、市民団体メンバーが文書の開示を求めて起こした裁判だ。最高裁小法廷は、月ごとの支払額が記された文書など具体的な使い道や支払先が特定できない部分の開示を命じた。3人の裁判官全員一致の判断だ。

 内閣情報室の経費を含め本年度は14億円余りが計上されている。少ない額ではない。

 公表すれば業務に支障が出たり、他国との信頼関係が損なわれたりする場合は非公開とすることを例外的に認める情報公開法の規定を盾に、政府は使途の説明を拒んできた。部分的にではあれ、開示されるのは初めてだ。

 不透明、不明朗ぶりがかねて指摘されてきた。小渕恵三内閣で官房長官を務めた野中広務氏は以前、共同通信の取材に答えて「1カ月当たり多い時で7千万円、少なくとも5千万円くらい使っていた」と述べている。内訳については、国会で野党工作に当たる自民党国対委員長や参院幹事長、政治評論家、野党議員らにも配っていたと説明した。

 2001年には外務省職員が総額約5億円の機密費をだまし取り、競走馬やマンションの購入に充てていたことが露呈している。国会対策費、パーティー費などの名目で与野党議員に渡されたことを示す資料を共産党が入手して公表したこともある。

 でたらめがまかり通ったのも、使途を明らかにしなくて済むカネとされてきたことが大きい。

 判決は全ての文書の開示を認めなかった理由について「内閣官房の活動全般に支障が生じることがあり得る」としている。支障が生じるか否かは国民には分からない。政府のさじ加減一つで開示、非開示が決まる心配が残る。

 国民が納めた税金である。何にどう使ったかは国民主権の精神に関わる。すぐには説明しにくい場合があり得るとしても、一定期間後、例えば20年、30年が過ぎたら原則として全て公開する仕組みにすべきである。未来永劫(えいごう)公開できないような用途に使うのは税金として不適切だ。

 開示のルールをどう作るか、議論を始めるよう与野党に求める。

(1月23日)

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