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施政方針演説 甘言を連ねるだけでは

 「働き方改革」をはじめ、掲げる政策のプラス面を強調するばかりで、課題や難点については語らない。

 安倍晋三首相の施政方針演説は内政、外交とも踏み込みを欠いた。国会審議で詳しく説明する必要がある。

 2012年に第2次政権が発足してから6回目になる。政権の実績や取り組みを総花的にアピールしている。

 新たな看板政策である「人づくり革命」では、社会保障制度の改革を訴えている。「お年寄りも若者も安心できる全世代型」に転換していくという。具体的に挙げたのは現役世代の不安解消だ。介護や保育の受け皿整備、人材確保に向けた処遇改善に取り組む。

 教育の無償化、生活保護世帯の子どもたちに対する支援の拡充も表明している。

 総じて聞こえのいい政策が並んだ。給付の見直しなど国民の痛みを伴う改革は素通りだ。高齢化が進む中、年金や医療を含め持続可能な仕組みをどうつくっていくのか。全体像をはっきりさせなければ不安は拭えない。

 働き方改革では長時間労働の慣行を打ち破るとした。罰則付きの時間外労働の限度を設けるとともに、専門性の高い仕事では時間によらず成果で評価する制度を選択できるようにするとしている。

 一部の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の創設などが含まれる。首相の言葉とは裏腹に、長時間労働を助長しかねない制度だ。反対意見が強いのに、丁寧に説明しようという姿勢は感じられない。

 課題の先送りも目立つ。幼児教育無償化の対象や高等教育無償化に向けた詳細な制度設計は、夏までに結論を出すとした。財政健全化目標として掲げる基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の達成時期、裏付けとなる計画も「夏までに」としている。

 外交も難題の解決に向けた道筋は見えない。

 北朝鮮については核・ミサイル計画を放棄させ、拉致問題を解決するとしたものの、具体策は示していない。「いかなる挑発行動にも屈することなく、毅然(きぜん)とした外交を展開」とするにとどまる。圧力一辺倒で打開できるのか。

 米国との関係も問わねばならない。トランプ大統領との個人的な信頼関係の下、世界のさまざまな課題に共に立ち向かうと述べている。パリ協定離脱やエルサレムをイスラエルの首都と認定したことをどう考えるのか。不都合な点を伏せるのでは説得力を持たない。

(1月23日)

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