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白根山噴火 観測態勢の再点検を

 前触れなく噴火する火山の怖さをあらためて実感する。群馬・長野県境にある草津白根山が噴火した。火山活動が活発化していることを示す兆候を捉えてはいなかったという。

 群馬側の山腹のスキー場では、噴石が休憩施設の屋根を突き破り、ロープウエーのゴンドラも窓が割れた。多くの負傷者が出ている。現場付近で訓練中だった陸上自衛隊員が死亡した。

 気象庁は噴火警戒レベルを3(入山規制)に上げ、引き続き警戒を呼びかけている。影響が長期化することも懸念される。

 2014年に火山性地震の増加や山体の膨張を観測し、警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられたが、その後、活動は落ち着いていたという。昨年6月にレベル1(活火山であることに留意)に戻したところだった。

 草津白根山は、一帯の白根山や本白根山などを総称して言う。今回噴火したのは本白根山である。白根山の活動が続く一方、南に2キロほど離れた本白根山は休止状態とみられていた。研究者からも「意外だ」と声が漏れている。

 噴火を予測する難しさを再認識させられる。爆発の規模によっては、さらに重大な事態につながったかもしれない。14年に御嶽山の噴火で60人以上の死者、行方不明者が出たことを思い起こす。

 噴火はいつ起きてもおかしくない。その緊張感を常に持ち、火山と向き合っていくほかない。

 草津白根山は全国に50ある常時観測火山の一つとして、気象庁が24時間体制で監視している。それでも噴火被害を防げなかったことを重くみて、観測のあり方を再点検する必要がある。

 火山については、分からないことが多い。一つ一つに個性があり、噴火の起こり方も異なる。それだけに、それぞれの火山を詳しく知る研究者が欠かせない。

 それすらおぼつかないのが現実だ。国立大の火山研究者は40人ほどしかいない。大学院生は10人足らずだといい、さらに先細りしていく恐れがある。

 手厚い観測態勢がとれれば、危険は回避できる可能性がある。2000年の北海道・有珠山の噴火はその一例だ。観測データに基づいて事前に住民を避難させ、死傷者が出るのを防いだ。

 日本は世界有数の火山国である。観測・研究を一元的に担う国立の機関を設けることを含め、態勢の強化を図るとともに、若い人が火山研究を志せる環境を整えることは国の責務だ。

(1月24日)

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