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財政再建 本当に達成できるのか

 これで本当に財政健全化目標を達成できるのか、疑問が募る。

 経済財政諮問会議で政府が示した試算は甘い前提に立つ。厳しい現実を見据えて再建の道筋を示す必要がある。

 基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという目標である。社会保障や公共事業といった政策経費を税収などの基本的な収入でどのくらい賄えているかを示す。黒字なら、新たな借金をしないで済む。

 試算によると赤字解消は2027年度になる。昨年7月の前回試算で見込んだ25年度より、2年遅れる。従来、目標としてきたのは20年度の黒字化だった。今回の試算では、20年度に10兆8千億円の赤字が残る。前回試算より2兆円余り膨らんだ。

 収支悪化の一因は、教育無償化の費用がかさむことだ。政府は昨年、「人づくり革命」の一環として年1兆7千億円投じることを決めた。財源には19年10月に予定する消費税率引き上げの増収分を充てる。借金を抑えるために使うはずのものだった。

 経済成長率の想定を下げたことも影響している。前回は20年代初頭に名目で3・9%、実質で2・4%まで高まるとしていた。今回は名目で3%台半ば、実質で2%前後との想定だ。

 それでもまだ甘い。現在並みの名目1%台後半、実質1%強を前提にすると、27年度時点で8兆5千億円の赤字になる。日銀の金融緩和が続くとみて、想定金利を前回より下げてもいる。高成長と低金利を見込んだ試算である。

 政府は試算を基に新たな目標を6月ごろ定める。麻生太郎財務相は昨年12月の国会答弁で「5年も10年も延ばさず、数年で達成したい」と、20年代前半に黒字化する意向を表明した。社会保障費の抑制などで前倒しを目指すというものの、実現の見通しはあるのか。

 20年度の達成はもともと絶望視されていた。政府は堅持すると繰り返した末に消費税の使途変更に合わせ、断念を表明した。目くらましのようなやり方だった。

 安倍晋三首相は「財政再建の旗は降ろさない」とする。決意を示すだけでは説得力がない。歳出抑制の具体像を示すべきだ。

 18年度予算案を見ても危機感は乏しい。一般会計の総額は6年続けて過去最大を更新した。歳入の3割以上は借金である。大盤振る舞いを続けるときではない。国会での突っ込んだ議論が必要だ。景気のいいときこそ、歳出全般に切り込まなくてはならない。

(1月25日)

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