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エルサレム 米国の横暴が目に余る

 独善的な行動を認めるわけにはいかない。

 ペンス米副大統領がイスラエルで演説し、エルサレムはイスラエルの首都だと改めて主張。2019年末までに大使館を移転すると明言した。

 一方で、「和平は対話によってのみ達成される」「扉は開いている」とも述べ、パレスチナ側に交渉再開を呼びかけている。ずいぶん勝手な言い分だ。

 イスラエルによる入植活動が進み、パレスチナの人々が迫害されている。人権をないがしろにした国際法に反する状況を、各国は放置してはならない。

 トランプ大統領が首都認定を発表したのは昨年12月だった。その後も、国連パレスチナ難民救済事業機関への拠出金の半額以上を凍結するなど、イスラエルへの肩入れを鮮明にしている。

 イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の聖地があるエルサレムではかつて、多種多様な人々が融和して暮らしていたという。

 ユダヤ人国家再建のため、国連は1947年、パレスチナを二分し、エルサレムは国際管理する決議を採択した。アラブ諸国は異教徒の国が突然現れることに反発し、中東戦争が起きる。

 67年の第3次戦争で、イスラエルはエルサレム全域を占拠し「不可分の永遠の首都」と宣言するに至った。が、国際社会は承認せず、「2国家共存」を和平実現への道としてきた。

 ペンス副大統領は、米国も引き続き2国家共存を支持すると言っている。パレスチナは、イスラム教の聖地がある東エルサレムを首都とする独立国家樹立を目指している。聖地放棄を前提にした交渉を受け入れられるはずがない。

 首都認定の背景に、キリスト教福音派への配慮があったとされる。パレスチナは神がユダヤ人に与えた約束の地―という旧約聖書の言葉を信じる宗派で、ペンス氏も属す。トランプ大統領の強力な支持層とみられている。

 保身を理由に力任せの外交に出たのなら言語道断だ。米国がなすべきは、93年のオスロ合意に基づき、ヨルダン川西岸とガザ地区からイスラエルを退かせ、パレスチナの自治実現に向けた環境を整えることだろう。本来、米国にしか果たせない役割だ。

 事態に窮するパレスチナ自治政府は、国連に和平交渉の推進役を求めている。国際社会はこれに応え、まずはイスラエルを交渉の席に着かせたい。大国の「認定」によって無理が通るようでは、国際秩序は保てない。

(1月25日)

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