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火山避難計画 市町村だけに任せず

 死者・行方不明者63人を出した御嶽山の噴火災害の教訓は生かされているのか、心配になる。

 噴火したらどう伝えどこへどうやって逃げるのか。火山の周辺自治体の避難計画作りが全国的に遅れているからだ。23日に噴火し、1人が亡くなり、11人が重軽傷を負った草津白根山の周辺自治体も同様だ。

 計画作りは専門知識がないと難しい。国や県は支援をより強めてほしい。

 御嶽山噴火災害を受け、活動火山対策特別措置法(活火山法)が改正された。全国49火山の警戒地域内の自治体や観光施設は登山客や住民の避難計画を作るよう義務づけられた。

 法施行から1年半たった昨年6月時点で、情報伝達、避難施設、経路など6項目を記載した計画を作り終えた自治体は対象155市町村の3分の1にとどまっている。長野県内は対象延べ11市町村のうち浅間山麓の佐久市だけだ。

 草津白根山麓は草津町など群馬県側に長野県高山村を加えた5町村が警戒地域に指定されているが、避難計画を作り終えたのは嬬恋村のみだ。

 ホテルやスキー場などの観光施設は、自治体の計画を参考にするため策定率はもっと低いとみられている。

 火山噴火は水害や地震に比べ発生頻度が低い。自治体などから聞かれるのは、避難計画作成のための知見が得にくいという声だ。

 内閣府は一昨年、御嶽山噴火を踏まえて改定した「避難計画策定の手引き」を公表した。「自治体との協働」を掲げ、策定のため専門職員を派遣している。

 とはいえ、内閣府の火山防災担当は5人しかいない。全国の自治体を支援するには態勢が貧弱だ。

 全国共通の手引があっても、対象火山の特性に合わせた計画を作るには、その山の専門家の助言が要る。政府は火山観測、研究予算を増やしているものの、専門家の育成には時間がかかる。当面は心もとない状況が続く。

 計画の前提になるのが、噴火の影響が及ぶ範囲を示した「ハザードマップ」だ。これは火山ごとに関係機関でつくる防災協議会の多くが作成済みではある。

 ただ、草津白根ではマップで想定していない火口から噴火し、スキー場にいた人たちに被害をもたらした。

 計画を作ったら終わりではない。他の事例や訓練の積み重ねによって絶えず見直し、「想定外」を減らすことが求められる。

(1月26日)

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