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森林作業道 どこまでずさんなのか

 長野県の森林整備事業はどこまでずさんなのか。

 今度は開発に許可が必要な保安林で、間伐のための作業道が無許可で開設されていた。これまでに判明しただけで東御市、青木村でそれぞれ1カ所、木曽町内で2カ所あった。

 大北森林組合の14億円余に上る補助金不正受給事件が2014年に発覚し、県は他の事業者にも不正がなかったかを全県で調べる「緊急点検」を翌年、行っている。間伐では他に不正が見つかったが、森林作業道は不正はないと結論づけていた。

 うみは出し切れていなかった。点検の信用性は揺らいでいる。

 保安林は水源のかん養、土砂崩壊などの災害予防、生活環境の保全といった公益目的を果たすため都道府県知事らが指定する。指定区域での立木の伐採や土地の形質変更は制限される。

 開発するには都道府県に申請し、一定の基準に当てはまるか審査を経て許可を得る必要がある。

 東御市と青木村の山林の場合、信州上小森林組合が12年度、水源かん養の保安林内に許可申請しないままそれぞれ約2500メートル、約千メートルの作業道を開設していた。

 木曽町では、木曽森林組合が12年度、水源かん養の保安林に約685メートル、民間事業者が14年度、土砂流出防止の保安林に約118メートルの作業道を無許可で開いた。

 いずれも国、県の補助事業で、県の現地機関、地方事務所(現・地域振興局)が窓口だった。

 長野県の場合、民有林面積の3割余が保安林に指定されており、作業道が当たる可能性は高い。

 保安林の所在地は森林の分布を示した基本図で簡単に分かる。現場には保安林を示す標識が目立つ場所に掲げられている。

 なぜ、地事所は事前の打ち合わせや完了後の現地調査で見逃したのか。原因や背景を明らかにしなければならない。

 林野庁によると、今後、許可申請を出させ、基準に合わない場合は原状回復を求めることもあり得る。無許可の代償は大きい。

 大北森林組合事件では、町道など既設の道を作業道開設と偽ったり、地事所が完成後の現地調査をしていないのに書類上は調査したように装ったりしたケースが多くあった。

 県は、過去に保安林内で行われた森林整備の許可申請状況を確認する調査を始めた。緊急点検に疑義が生じている以上、許可申請にとどまらず不正の有無を調べ直す必要がある。

(1月29日)

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