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安保をただす 専守防衛 ごまかしは許されない

 政府は2018年度予算案に、長距離巡航ミサイルを自衛隊に導入するための関連費用を盛り込んでいる。戦後日本の基本方針である「専守防衛」を逸脱する恐れが強い。

 安倍晋三首相は国会で「専守防衛は憲法にのっとった、わが国防衛の大前提だ。今後ともいささかの変更もない」と述べている。疑問にきちんと答えようという姿勢は感じられない。引き続き国会でただしていく必要がある。

 予算案には、航空自衛隊のF35A最新鋭ステルス戦闘機に搭載する「JSM」など、3種の巡航ミサイルの関連費が盛られた。他国の弾道ミサイル発射基地を攻撃できる射程がある。「敵基地攻撃能力」につながるものだ。

 政府の憲法解釈では、他に防ぐ手段がない場合に必要最小限度で基地をたたくことは「法理的には自衛の範囲に含まれ可能」とされてきた。それでも歴代政権は専守防衛の観点から長距離巡航ミサイルなどを保有してこなかった。

 首相は「憲法上保有が許されない兵器との指摘は当たらない」とする。導入の目的について「自衛隊員の安全を確保しつつ、わが国を有効に防衛するため」と説明した。離島防衛での重要性を指摘している。どんな状況で、どのように使おうというのか。

 専守防衛は、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢である。具体的には▽相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する▽行使は自衛のための必要最小限度にとどめる▽保持する装備も同様に必要最小限度とする―と説明されてきた。

 他国に脅威を与えるような攻撃的な兵器を持つことは従来の考え方に反する。

 敵基地攻撃能力について「米国の打撃力に依存しており、日米間の役割分担を変更することは考えていない」とも述べている。ならば、長射程の巡航ミサイルは持たなくていいはずだ。

 既に専守防衛が変質していることも改めて指摘しなくてはならない。安全保障関連法によって自衛隊が集団的自衛権を行使できるようになっている。防衛力の行使は日本が攻撃を受けた場合に限られていたのに、密接な関係にある他国への攻撃も対象に加わった。

 この上、敵基地攻撃能力も持つことになれば、専守防衛はいよいよ名ばかりになる。政府のごまかしを許すわけにはいかない。

(1月29日)

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