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仮想通貨流出 信頼に直結する問題だ

 利用者の大切な資産を預かっている認識があったのか疑問だ。

 仮想通貨取引所大手のコインチェック(東京)である。約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正アクセスで流出した。取引所の被害額としては過去最大規模となる。

 問題は安全対策が不十分だったことだ。顧客の仮想通貨は通常、インターネットから物理的に切り離した「オフライン」のコンピューターで保管する。それなのにコインチェックの口座は常にネットに接続されていた。

 和田晃一良社長は技術的な難しさと人材不足で、オフラインの口座で保管するシステムの開発が終わっていないと説明している。

 仮想通貨を巡っては、不正アクセスでコインが盗まれるトラブルが世界各地で相次いでいる。昨年12月には韓国の取引所が総資産の17%に当たる約18億円相当を奪われたとして、破産申請に追い込まれたばかりである。

 不正アクセス防止対策の重要性は認識していたはずだ。それなのにコインチェックは脆弱(ぜいじゃく)なセキュリティー態勢を放置したまま、顧客獲得に懸命になっていた。責任は大きい。

 金融庁は昨年4月に施行された改正資金決済法に基づき、業務改善命令を出した。管理体制強化と再発防止への取り組みを求めている。当然の対応だ。

 被害者対応も急務である。流出したネムを預けていた顧客は約26万人に上る。コインチェックは総額460億円を自己資金で返金すると発表しているものの、時期や手続きは不明だ。具体性のない説明では利用者の不安は拭えない。早急に明らかにするべきだ。

 改正資金決済法では現金と仮想通貨を交換する取引所に登録制が導入され、公認会計士らによる外部監査も義務付けられた。現在16取引所が登録されている。

 コインチェックは登録申請中で「みなし業者」として営業していた。登録前に営業を認めた国に問題はなかったのか。システムの脆弱性を把握できなかった理由を含め、検証しなければならない。

 仮想通貨は価格変動が大きく、利用者が大きな損失を出す危険性が高い。詐欺被害などのトラブルも後を絶たない。流出リスクまで顕在化すると信頼はなくなる。

 金融庁は、国内の全取引者の安全管理体制を調査し、必要に応じて立ち入り検査するという。各取引所は仮想通貨の将来に直結する問題という意識を持ち、厳密な対策を取る必要がある。

(1月30日)

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