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東京一極集中 発想を変えて取り組もう

 歯止めがかかる兆しがない。

 総務省が2017年の人口移動状況をまとめた。東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)は22年続けて、転入者が転出者を上回る「転入超過」となり、その数は11万9千人余に上った。40道府県で「転出超過」となっている。

 東京圏転入者の多くを15〜29歳が占めている。安倍政権は、全国知事会の要請を受け、東京23区の大学の定員増を認めない法案を今国会に提出する。進学や就職の機会を求める若者の動向を力ずくで抑えられるだろうか。

 日本の人口自体が、50年後に8800万人まで減ると推計されている。地方は現実を見据え、国の方針に倣うのではなく、自主的に地域の営みを維持する構想を描かなければならない。

 全国の自治体の半数に消滅の可能性がある―。日本創成会議の予測を受け、安倍政権が地方創生を唱えたのは4年前だった。少子高齢化や人口減少の対策に改めて焦点を絞ったまではいい。

 実施に当たり、まず国が総合戦略を立て、この内容に沿った地方版戦略を、わずか1年の間に自治体に作らせている。従来の施策の検証は不十分なままで、コンサル会社に作成を依頼した自治体さえあった。当初から、予算のばらまきだと批判されてきた。

 その後も政府は、企業や訪日観光客を地方に誘致して雇用を生みだそうと、優遇税制や中小企業支援策を打ち出し、カジノ解禁の準備も進めている。経済成長を重視し、即効を期待する国主導のやり方にはどだい無理がある。

 自治体の責任も重い。地方版戦略には、効果が定かでない施策を焼き直した事業も目につく。国の言うなりに交付金を使っておきながら、人口流出が止まらないと、苦し紛れに都内の大学の定員を増やすなと訴えたりしている。

 内閣府や民間研究所の調査からは、20〜40代を中心に都市から地方に移住する傾向の高まりがうかがえる。相対的には少数派であっても、都会にはない暮らし方、働き方を望む人たちはいる。

 不足するものに注意を奪われるのでなく、地方の持ち味に目を向けたい。雇用の場を増やし、高等教育機関を置くことも大切であるものの、内容が地域性に合致していてこそ成果が期待できる。

 自治体に必要なのは発想の転換だろう。地方創生で組むべき相手は政府だけではない。住民や移住者、移住希望者の声に基づく発案で国を動かしてもらいたい。

(2月1日)

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