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依存症対策 期待と疑問 パチンコ出玉規制 施行

県内のパチンコ店も出玉規制などのギャンブル依存症対策が求められている=千曲市県内のパチンコ店も出玉規制などのギャンブル依存症対策が求められている=千曲市
 パチンコの出玉の上限を約3分の2に引き下げる風営法施行規則が1日、施行された。ギャンブル依存症対策の一環で、一定の効果が期待されるが、依存症の当事者らからは「根本的な解決にはならない」との声も。県内のパチンコ店には客離れや台の入れ替えの負担に懸念が広がるが、依存症対策は業界も避けて通れない状況になっている。

 「依存症の人に出玉規制はあまり効果はないと思う」。中信地方の40代男性は、自分を思い返してそう語った。

 就職して間もなくパチンコに通い始めた。仕事のストレス発散でのめりこみ、にぎやかな店内の雰囲気や大当たりの興奮が快感となり、やめられなくなった。

 100万円以上になった借金が妻にばれて「やめます」と約束した。だが、「嫌なことがあったら打っていい」などと自分を正当化して続けた。出玉規制は過去にも実施されたが、男性は「パチンコをやめようと思わなかった」。

 男性は現在、妻の勧めでギャンブル依存症の人の自助グループに参加。グループの仲間と、自分自身を見つめ直すことで立ち直り始め、6年間パチンコをしていない。「必要なのは当事者に直接働き掛けるような対策」とする。

 ギャンブル依存症の北信地方の50代男性はパチンコにのめり込んでいることや借金の恥ずかしさを他人に打ち明けられなかったという。「相談したり、周囲の人が異変に気付いたりする環境づくりが大切では」とする。

 一方、業界からは苦慮の声も。北信地方でパチンコ店を営む50代男性は規制で「客離れが起きる」と心配する。店のパチンコとパチスロは計約300台。価格は1台40万〜50万円だが、規制の新基準に合わせ、3年の猶予期間中に全て交換する必要がある。経営は厳しく、「3年で入れ替えられるだろうか」と漏らす。

 業界にも依存症対策の責任が求められていることは意識している。店内に依存症対策に取り組むNPO法人の連絡先を示したポスターを掲示し、従業員が依存症の知識や対応を学ぶ講習会に参加してきた。ただ、客のどんな様子が依存症に当たるのか分からず、声掛けの判断は難しい。客の個別事情に「踏み込んでもいいのか」と悩むという。

 依存症の相談窓口となっている県精神保健福祉センター(長野市)の小泉典章所長は出玉規制を「損するペースが落ち、借金する割合を減らせる」と評価。ただ、依存症は自身で認めるまでに時間がかかる「否認の病」のため、「周囲が声を掛けるなどして気付かせ、治療につなげる必要がある」とし、従業員らの対応力の底上げも求める。

 千曲市などでパチンコ店3店を経営する千曲市の小山泰一社長(64)は出玉規制で「ギャンブル志向ではなく、娯楽として楽しむ客が残るのでは」とみる。「パチンコへの社会の『NO』の声が大きくなった結果ともいえる。社会から認められる産業になっていくようにしたい」としている。

(2月1日)

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