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社会課題 民間投資で解決 飯田のベンチャー「SIB」

SIBの普及に向けた構想を話す宮国社長SIBの普及に向けた構想を話す宮国社長
 医療福祉関連のデータ分析支援を手掛ける飯田市のベンチャー企業「ネクサスラボ」が、民間投資を活用して社会的課題を解決する枠組み「ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」の普及に取り組んでいる。自治体と連携し高齢者の介護予防などの事業を進めたい考えで、県内自治体に導入を働き掛けている。行政側には、予防に力を入れることで将来見込まれるコストを削減できるメリットがあるほか、成果に応じて報酬を支払う仕組みのため、新しい事業を始めやすいという。

 同社は千葉大予防医学センター特任研究員の宮国康弘さん=飯田市松尾代田=が2014年に設立し、16年に株式会社化した。市町村や大学などの調査研究の支援を手掛けており、医療福祉分野や子どもの貧困対策などの手法としてSIBに着目した。

 SIBは、金融機関や投資家から集めた資金を活用し、自治体の委託を受けた民間事業者やNPOなどが公的サービスを実施する仕組み=図。事前に合意した成果目標を達成できていれば、自治体から成果に応じた報酬が支払われ、投資家らは配当として受け取れる。投資家側は社会的な課題解決に貢献できる。ネクサスラボは、それぞれの組織を結ぶ「中間支援組織」の役割を担う考え。

 全国では、神戸市が糖尿病性腎症の重症化予防の事業を2017年からSIBで実施。症状が悪化した場合の人工透析は高額な医療費がかかるため、民間資金による保健指導で医療費抑制や健康寿命の延伸につなげる方針。

 神戸市と連携して、事業推進に当たる一般財団法人社会的投資推進財団(東京)によると、SIBの導入について現在、約50の自治体が検討中。成果に応じて報酬を支払うため、優良事業者の育成につながる利点もある。

 一方で、事業実施の成果を評価する指標の設定などに手間がかかるのが難点。事業費を確保する仕組みが従来と異なり、自治体職員が二の足を踏むケースもあるという。

 ネクサスラボは、中間支援組織として活動を展開するため、飯田市に事業支援を相談。市は、県や地元金融機関などと17年8月に設立した事業者支援の新組織「I―Port(アイポート)」の枠組みで、同社を支援することを決めた。SIBの周知が必要とし、宮国社長による講演の機会を県内外で設けている。同市は医療福祉などでSIB導入の可能性も模索している。

(2月2日)

長野県のニュース(2月2日)