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千曲の重伝建内解体 波紋 「土塀だけでも保存」要望

重伝建内で解体が進む高村家住宅=1日重伝建内で解体が進む高村家住宅=1日
 国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)になっている千曲市稲荷山で、明治中期に建てられた「高村家住宅(高村別邸)」の解体が進んでいる。住民や専門家でつくる市伝統的建造物群保存地区保存審議会は1日、市教委が独断で解体を許可したと批判。風情ある景観をつくっている土塀だけでも残してほしいと市教委に求めている。

 高村家住宅は、重伝建内の国道403号に面し、敷地約1328平方メートル。主屋や蔵のほか、国道に面した白い土塀や門構えが目を引く。1960年代に慶応義塾塾長を務めた高村象平の父親の別邸で、第2次大戦中には、慶応義塾図書館(東京)の蔵書の疎開先にもなった。

 市教委によると、昨年夏ごろから、都内に住む所有者の代理人を務める不動産業者と保存についてやり取りしてきたが、最終的に市内の建設業者が解体し、更地を取得することになった。11月に所有者側が解体の許可申請書を提出、許可したという。

 審議会委員は市教委が委嘱し、重伝建に関わる調査・審議を行うことになっているが、この件については「何も知らされていない」と、会長の吉沢政己さん(NPO法人信州伝統的建造物保存技術研究会副理事長)。1日は緊急会合を開き、審議会の意見を聞かず解体を認めた市教委への批判が相次いだ。土塀の保存について市教委は、所有者側に説明し、建設会社にも協力を依頼するとしている。

 土地を取得する建設業者によると、解体作業は1月下旬に始め、2月中旬に終える見通し。更地の利用方法は「現時点では未定」としている。

(2月2日)

長野県のニュース(2月2日)