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名護市長選 移設への賛同ではない

 沖縄県の名護市長選は政権の支援する新人が当選した。米軍普天間飛行場の移設について賛否を明確にしないままの勝利である。辺野古の基地建設に賛意が示されたとは言えない。

 辺野古への移設反対を訴えて3選を目指した稲嶺進氏と、推進の立場で活動してきた元市議の渡具知武豊氏の一騎打ちだった。稲嶺氏は民進、共産、自由、社民などが推薦、立憲民主が支持した。渡具知氏は自民、公明、維新の推薦を受けている。

 論戦はかみ合わなかった。「新しい基地を造らせない」とする稲嶺氏に対し、渡具知氏が争点化を避ける戦術をとったためだ。移設の是非には触れず、米軍再編交付金によるまちづくりや教育、医療の充実などを訴えた。

 辺野古では昨年4月、防衛省が護岸造成を始めた。既に5本目の護岸工事に着手し、海上から大規模な石材搬入も始まっている。政府が既成事実を積み上げる中での市長選だった。

 秋には知事選がある。政権は前哨戦と位置付け、渡具知氏の支援に力を注いできた。相次ぐ米軍ヘリコプターの不時着などを巡って内閣府副大臣が「それで何人死んだんだ」とやじを飛ばした問題は投票への影響を抑えようと早々に引責辞任で収拾を図った。

 渡具知氏当選を受けて政府は工事を加速させる考えだ。安倍晋三首相は「市民の理解をいただきながら、最高裁判決に従って進めていきたい」と述べている。

 共同通信の出口調査では渡具知氏に投票した人のうち、3割超が移設に「反対」「どちらかといえば反対」と答えた。政府の方針が受け入れられたと結果を都合よく解釈することは許されない。

 辺野古移設が争点となってから6度目の市長選だった。容認派3勝、反対派2勝を経ての現職敗北である。投票のたびに市民は二分されてきた。移設阻止か、地域振興か―。有権者にとって苦しい選択だったのではないか。

 首相は「県民の気持ちに寄り添いながら、さらなる沖縄の発展を全力で支援していく」と強調している。今年の施政方針演説では基地負担の軽減に全力を尽くすとしていた。基地をたらい回ししても負担軽減にはならない。

 県が工事差し止めを求め、国との法廷闘争が続いている。埋め立てをごり押しして住民の亀裂や対立を深めるのは、政府のあるべき姿ではない。広く県民が納得できる方策を探るため、工事を止めて県側と話し合う必要がある。

(2月6日)

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