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草津白根山 噴火から何をくみ取る

 草津白根山の噴火から2週間が過ぎた。火山にどう向き合うかを考える上で、検証すべきことは多い。

 第一は「噴火速報」が出されなかったことだ。気象庁が3年前にスタートさせた仕組みである。携帯メールなどを通じて住民、観光客、登山者らに知らせる。

 これまでに阿蘇山で2回、桜島で1回出している。いずれも噴火から数分以内だった。運用は順調かと思われた。

 今回、地元草津町から気象庁に「噴火したようだ」との情報が伝えられている。速報を見送った理由について気象庁の担当者は「カメラで見られなかったことが大きい。聞き取った情報の精査に時間を要した」としている。

 草津白根は全国50の常時観測火山の一つに指定されている。火口付近には地震計やカメラが設置され、麓には東京工業大の観測所もある。最も態勢の整った火山の一つである。

 なのに気象庁の事実確認は遅れた。噴火した場所が気象庁の想定外で、近くにカメラや地震計がなかったためだ。

 想定外は今後も起こり得る。速報の運用を見直す必要がある。

 火山噴火予知連絡会の石原和弘会長は「『噴火したもよう』でいい。分からない部分は後から追加情報で補うなど、柔軟に臨むべきだ」と話している。

 警戒レベルの引き上げも遅れた。しかも3(入山規制)に引き上げた時は気象庁から町への連絡はなかった。なぜ遅れたのか、知らせなかったのか、経緯を調べる必要がある。

 草津町が防災無線で住民に噴火した事実を伝えたのは1時間近く過ぎてからだった。行政全体として、迅速、的確な対応ができなかった印象が残る。

 活火山法は周辺自治体に加えて、ホテル、交通機関など民間の施設に対しても避難計画作成を義務付けている。民間の対応は遅れがちという。

 噴火の直後、ロープウエー山頂駅の係員はスキーヤーらを駅舎内に避難させ、けが人が増えるのを防いだ。今度の経験を関連業界で共有し、取り組みが進むことを期待する。

 火山は分からないことが多い。水蒸気爆発の予知は特に難しい。

 草津白根は火山ガスが怖い山としても知られる。観光客の車が行き交う道の脇から噴き出している。登山者が死亡したこともある。入山規制の今後については慎重な見極めが欠かせない。

(2月7日)

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