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陸自ヘリ墜落 背景も含め徹底解明を

 陸上自衛隊のヘリコプターが佐賀県神埼市で墜落、炎上した。住宅を直撃する重大な事故である。何があったのか。背景を含め徹底調査し、国民に明らかにしなくてはならない。

 整備点検後の試験飛行をしていた2人乗りAH64D戦闘ヘリである。離陸7分後に機首から墜落し乗組員が亡くなっている。離陸2分後の交信でトラブルは確認されなかった。その後、異常に気付いた管制官の呼び掛けには応答がなかったという。

 現場の2階建て住宅には4人が暮らし、当時いた小学5年の女児が右膝を打つけがをした。隣接する平屋も燃えている。女児の祖母がいたものの、無事だった。

 農地に囲まれた場所だ。ヘリのメインローター(主回転翼)が先に落ちていったと話す目撃者もいる。制御しようにもできない状態だったのだろう。近くに小学校や認定こども園がある。まかり間違えば、住民の生命に関わる深刻な事態になっていた。

 陸自は、陸上幕僚監部ナンバー2の副長を委員長とする事故調査委員会を設置した。小野寺五典防衛相は、飛行前に4枚の羽根をつなぐ部品を交換していたと明らかにしている。部品や整備の仕方に問題があったのか突き止めなくてはならない。

 安倍晋三首相は、同型機の飛行を当面停止して原因を究明するとともに、自衛隊の全てのヘリを整備、点検するよう指示した。再発防止に向け、徹底した対応が欠かせない。ヘリの窓落下などトラブルが続く米軍に対して安全確保を迫る上でも重要な点だ。

 近年、自衛隊機の事故が相次いでいる。昨年は3件の死亡事故が発生した。5月に北海道北斗市の袴腰山付近で大破した陸自の連絡偵察機が見つかっている。8月には青森県沖で海自の哨戒ヘリが墜落、10月に浜松市沖で空自の救難ヘリが墜落した。

 調査を今回の事故だけにとどめるわけにはいかない。墜落したAH64Dの整備について、人員が限られ、質の低下が問題視されていたとする専門家もいる。人員や装備に無理がかかっていないか。防衛省は事故が続いている要因を掘り下げる必要がある。

 佐賀では、陸自が導入する輸送機オスプレイの佐賀空港への配備が計画されている。墜落機と同型を含むヘリ約50機も移駐する。事故を受け、佐賀県知事が懸念を表明したのは当然である。配備を急ぐ状況ではない。この点も併せて指摘しておきたい。

(2月7日)

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