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なぜ人はねたみ他人の不幸を「蜜の味」のごとく喜ぶのか。脳科学で明らかになったメカニズムは―。ねたみの対象の人に不幸が起きると、葛藤や痛みを強く感じている人ほど、「報酬」を受け取る時に働く脳の部位が反応するそうだ

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精神科医の福井裕輝さんが自著「ストーカー病」に書いている。ストーカーも脳の「報酬」系が過剰に活動し相手を傷つけたいという欲求が抑制できなくなる。切り捨てられた「心の痛み」を和らげてくれるのは、不幸に苦しむ相手の姿ではないか、と

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「恨みの中毒症状」と福井さんは表現する。もう一つ加害者には共通する特徴があるという。それは相手の心情を理解できず、自分の感情を整理するのが苦手ということだ。警察庁から提供を受けた3千件の事件データの分析や加害者の治療から見えたストーカー病の病理である

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長野市の殺人放火事件も、ストーカー行為を警察から口頭で警告されていた男の犯行とみられている。法改正で規制や罰則は強化されたが、今回も命を守れなかった。警察の対応に課題があったとしても、やり玉に挙げるだけでは根本解決にはなるまい

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福井さんは「男女問題解決支援センター」を設立。被害相談に応じ、認知行動療法で加害者の治療をしている。ストーカーをやめられた人も少なくない。警察への相談は全国で年間2万件。兵庫県警は臨床心理士の警察官が加害者と面談し受診に導いているという。参考になる取り組みだ。

(2月8日)

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