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松代大本営地下壕「真実を見つめて」 長野の市民団体がパンフ

松代大本営地下壕の建設工事について解説するパンフレット「歴史の真実を見つめて」を手にする塩入さん松代大本営地下壕の建設工事について解説するパンフレット「歴史の真実を見つめて」を手にする塩入さん
 長野市の市民団体「松代大本営追悼碑を守る会」は、太平洋戦争末期に同市の松代大本営地下壕(ごう)の建設に携わった朝鮮人労働者に焦点を当てたパンフレットを作成した。労働の強制性を巡って議論になり、地下壕の説明板の表現を見直した市の2014年の対応を改めて批判し、「強制的に連行した歴史的事実」を明記するよう主張している。

 市は、説明板の文章を「多くの朝鮮や日本の人々が強制的に動員されたと言われている」と、それまでの断定調から伝聞調に変更。同内容のパンフレットを、大本営地下壕の一つの象山地下壕の入り口で配っている。長野市教委は「さまざまな考え方があるということを伝える文面にした」(文化財課)としている。

 同会は「強制性が曖昧になる」として、元に戻すよう求める2万人超の署名を提出したが、市は方針を変えておらず、独自にパンフレットを作成。象山地下壕入り口近くの「もうひとつの歴史館・松代」で無料配布を始めた。

 パンフレットの題は「歴史の真実を見つめて」。A5判12ページにわたって工事の概要や労働実態、犠牲者などを説明している。市の説明変更を「主な労働力が朝鮮半島や日本国内の建設現場などから強制的に連行、動員された朝鮮人労働者であるという歴史的史実を隠蔽(いんぺい)するもの」と批判。「市民や国内、東アジアをはじめとする国際社会に通用するとは思えない」とした。

 自主渡航したとされる朝鮮人労働者についても、1910(明治43)年の韓国併合で「日本資本が朝鮮の土地を買い占めたことで農村から追われた犠牲者」とした。

 守る会は95年、象山地下壕の入り口に「朝鮮人犠牲者追悼平和祈念碑」を建立。日本の侵略戦争や朝鮮半島植民地支配の歴史を継承するためのモニュメントとし、毎年8月には、碑の前で朝鮮人犠牲者を慰霊する式典を開いている。日本近代史が専門の同会会長、塩入隆・県短大名誉教授(84)は「市は(歴史認識に)正面から踏み込んでいない。実態を正確に伝えなければならない」とする。

 市教委文化財課は「市としては、訪れた人がそれぞれに感じてもらえばいいとの姿勢。地下壕建設は国家事業であり、歴史認識については国が責任を持つべきだ」としている。

(2月9日)

長野県のニュース(2月9日)