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薬物陽性 何があったのか解明を

 残念な事態だ。平昌五輪の日本代表選手がドーピング検査で禁止物質に陽性反応を示したとしてスポーツ仲裁裁判所(CAS)の反ドーピング部門が暫定で資格停止にした。

 本人は使用を否定しており、違反の有無は分からない。身の潔白を証明するため戦っていきたいとしつつ、今要求することはチームに迷惑を掛けるとして自発的に選手村を退去した。

 CASは審理の手続きを継続する。最終的な裁定結果が出るのは大会後になる。

 ロシアによる国ぐるみのドーピング問題で禁止薬物使用に厳しい目が向けられる中での処分だ。何があったのか、はっきりさせなくてはならない。

 スピードスケート・ショートトラック男子代表の21歳の選手である。世界ジュニア選手権の3000メートルリレー3位などの成績を収めている。今大会はリレーの補欠の立場で臨み、出番はなかった。

 日本選手団によると、今月上旬に選手村で検査を受け、利尿作用のある「アセタゾラミド」の陽性反応が出た。最初に分析する検体で陽性を示したことが国際オリンピック委員会(IOC)から報告され、予備の検体の検査でも結果は変わらなかったという。

 アセタゾラミドは緑内障などの治療に用いられる。筋肉増強剤の使用を隠す場合に使われたりすることがあり、禁止物質に指定されている。

 今大会初の処分である。違反が確定すれば、冬季五輪の日本勢で初めてになる。

 本人は、自らの意思で薬物を摂取したという事実はない―とする談話を出した。筋肉増強剤を使用したことはなく問題の薬を使うメリットも動機もないとし、偶発的に起きた出来事で無自覚のまま口に入ってしまったものとしか考えられないとしている。

 1月下旬に受けた検査で禁止物質は検出されなかった。無意識に摂取することがないよう、処方される薬は事前に専門家に相談し、日ごろの食事や飲み物にも気を付けていたという。

 細心の注意を払いながら陽性反応が出たとすれば、どこに問題があったのか。対策に穴があるならふさがねばならない。

 日本選手団の総監督らは驚きを口にしている。団長は暫定資格停止の受け入れを「苦渋の選択」とし「違反がなかったということを立証すべく、あらゆる努力をしていく」と述べた。再発防止へ、解明を尽くす必要がある。

(2月14日)

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