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日本が冬季五輪に初参加したのは90年前の第2回スイス・サンモリッツ大会だ。代表選手は早稲田などの学生6人。シベリア鉄道経由で欧州に入った。桜材のスキー板は折れやすいため30セット持ち込もうとして税関で密輸を疑われた

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日本のスキーの歴史は浅く、特にノルディックは競技が始まって10年余。竹節作太選手(山ノ内町出身)ら複合に出場した2人は飛躍を2回とも転倒して棄権した。「シャンツェの巨大さに怖くて勇気が出なかった」。竹節さんはそう振り返ったという

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今は昔である。平昌五輪の複合ノーマルヒルで渡部暁斗選手(白馬村出身)が銀メダルを獲得した。前半飛躍で気まぐれな風にも心が揺れることなく飛び、後半距離は最後まで競り合った。「キング・オブ・スキー」の座に一歩及ばなかったが、2大会連続の銀は胸を張っていい

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竹節さんらはサンモリッツから貴重な経験を持ち帰った。突っ立ったまま腕をぐるぐる回していた飛躍のフォームは外国選手と同じ前傾姿勢に改良した。距離に不可欠なワックスはスイス勢の技術をひそかに学んだ。先人が礎を一つ一つ積み重ねてきた

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団体は92年アルベールビル、94年リレハンメルと2大会連続で金メダルに輝き、花が開いた。その後は低迷した時期もあったが「複合日本」は復活途上にある。昨日のレース後、安堵(あんど)と悔しさが半々と語った渡部選手。「金メダルを取る」との約束は、20日のラージヒルまでとっておこう。

(2月15日)

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