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黒田総裁続投 出口の道筋はっきりと

 日銀の次期正副総裁の人事案が国会承認され、黒田東彦総裁の続投が正式に決まった。

 新たな任期は4月9日から5年間となる。満了まで務めれば、在任期間は歴代最長になる。異例の人事といえるだろう。

 求められるのは、大規模金融緩和の手じまいである。景気の減速や市場の混乱を抑えながら、正常化に向けて金融政策のかじをとっていくことが必要だ。市場と対話を重ね、慎重に出口を模索しなければならない。

 黒田氏が大規模金融緩和を導入したのは就任直後の2013年4月だ。大量の国債購入などで世の中に出回るお金を2年間で2倍にするとした。平均株価は上昇し円安も進んだ。好調な世界経済の影響もあり、企業業績は回復した。

 目標は物価上昇率2%を実現し、デフレから完全に脱却することだ。当初は想定通りに上昇したものの、その後の伸びは鈍い。今年1月の上昇率は0・9%にとどまっている。2%の達成時期は6度にわたって先送りされ、大規模緩和から抜け出せなくなった。

 その間に弊害が大きくなった。

 低金利で金融機関は利ざやが縮小し、収益を圧迫されている。日銀が保有する国債は市場の4割に達している。日銀が政府の財政資金を担う「財政ファイナンス」に近く、財政規律が緩む懸念が付きまとう。すでに限界に近い。

 本来、大規模金融緩和は短期的な政策とされ、永遠に続けることはできない。世界経済が変調をきたした時に効果的な緩和策を打ち出せない懸念もある。正常化に向けた議論が必要だ。

 金融緩和策の「出口戦略」は極めてデリケートである。

 国債や上場投資信託(ETF)の買い入れが減るとの思惑が広がれば、金利上昇や円高株安が進み、市場が混乱する恐れがある。円高は輸出産業を中心に企業収益を圧迫し、景気を冷やす。

 黒田氏は続投に向けた衆院の所信聴取で、出口戦略に向けた時期について「19年度ごろには検討に着手している」と初めて言及した。金利上昇の思惑で長期金利が跳ね上がり、急速に円高が進んだ。出口戦略の難しさが浮き彫りになったといえるだろう。

 必要なのは、経済の状況や見通しなど日銀の現状分析を常に明らかにして、今後の方針を市場に語りかけていくことだ。急激な政策変更は混乱をもたらす。市場にサプライズをもたらした「黒田バズーカ」とは正反対の姿勢が求められている。

(3月20日)

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