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プーチン氏4選 敵対心で展望は開けぬ

 プーチン氏がロシア大統領選を制し、4選を果たした。

 大国ロシア復活―を掲げて欧米との対決姿勢を鮮明にし、国民の愛国心に訴えかけた。目標とした得票率7割を上回る結果を残している。

 ロシア経済は低迷し、若者を中心に閉塞(へいそく)感が広がる。国民の生活の質を底上げするには欧米との関係改善が欠かせない。盤石の勝利も前途は多難と言えそうだ。

 強権的な手法が今度の選挙でもあらわになった。

 中央選管は昨年12月、リベラル派ナワリヌイ氏の立候補を横領罪を理由に却下。1月には独立系世論調査機関の活動が禁じられた。プーチン氏は政務の模様を国営テレビに追わせる“官製選挙運動”を展開し、投票率を上げるため国営企業や公務員を動員した。

 当選が確実視されながらの用意周到ぶりは、高い水準での勝利を目指したためとされる。

 クリミア半島を併合した2014年以降、欧米の経済制裁を受け国内経済は停滞している。国民の所得は減り、貧困層は人口の14%に増えた。求心力を保つには“圧勝”が必要だったのだろう。

 ロシアと欧米の関係は悪化の一途をたどっている。

 ウクライナ情勢を巡り、北大西洋条約機構(NATO)との軍事的緊張が高まっている。内戦が収束しないシリアの和平協議でも対立が深まる。英国南部で起きた元ロシア情報機関員への神経剤襲撃事件は、英ロ両政府が外交官を追放し合う事態に発展した。

 今月1日の年次報告演説でプーチン氏は、最新の戦略核兵器開発に成功したことを強調し、米国への敵対心をむき出しにした。

 トランプ米大統領の就任時に改善が期待された米ロ関係は、非難の応酬が目立つほど溝を深めている。冷戦の再来で核軍拡競争が激化するとの懸念は強い。

 ロシアの国内総生産(GDP)は米国の7%で、国防費も9分の1程度にすぎない。張り合うために核に固執し、国の針路を狭めたのでは経済振興も見通せない。

 安倍晋三首相は5月にプーチン氏と会談する。北方領土問題の解決に向け、経済協力を前進させたい考えだ。が、米軍基地の進出を疑うロシアが、領土返還で色よい返事をするとは思えない。

 プーチン氏は選挙後、記者団に向け、欧米との関係修復に意欲を示した。日本政府はむしろ、欧米との橋渡し役を買って出てはどうか。対ロ外交も中長期の視点に立って練り直したい。

(3月20日)

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