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森友学園問題 全体像を明らかにせよ

 全てを明らかにするには不十分である。

 佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問だ。参院予算委員会で27日に実施されることが決まった。衆院予算委も同日に開催する見通しになっている。

 森友学園への国有地売却を巡る問題だ。国民の財産である国有地が、小学校の建設用地として大幅に値引きされた。安倍晋三首相の妻昭恵氏が一時、小学校の名誉校長に就いていた経緯がある。

 問題は値引きが正当だったのか、政治家の介入や政治家らに対する財務省の忖度(そんたく)がなかったのか、という点だ。財務省による決裁文書の改ざんのみに問題を矮小(わいしょう)化してはならない。

 理財局長だった佐川氏の喚問は本来の決裁文書と異なる国会答弁を続けた理由や、改ざんの指示などが焦点だ。佐川氏が問題に関わったのは学園に国有地が売却された後だ。取引の全体像を明らかにするには無理がある。

 当時の理財局長らを喚問して説明を聞かなければならない。

 昭恵氏の喚問も必要だ。決裁文書では、学園側が昭恵氏の発言を財務省に伝えた部分などが削除された。なぜ削除しなければならなかったのか。学園との関係や財務省への働き掛けの有無などを明らかにしなければ本質は見えない。

 佐川氏の喚問は、事実解明に向けた一歩と位置付けるべきだ。

 佐川氏は国会答弁で、学園側との事前の価格交渉を否定し、売却は適正だったとも述べていた。

 改ざん前の決裁文書によると、財務局側と学園が事前の価格交渉をしていたのは明らかだ。値引きの根拠になったごみの量や撤去費用も虚偽の疑いがある。

 ごみを試掘した業者は、財務局や学園に求められ、実際より多くなるように数字を変更したと大阪地検特捜部に説明している。国側が学園側の業者に撤去費用の見積もりをさせたことも分かった。

 その通りなら、売却額を低く抑えるため、国と学園が画策したように思える。佐川氏は「国土交通省全体の知見を使って適正に正確に見積もった」と答弁していた。説明が必要である。

 首相は昨年2月、「私や妻が関係していたなら、総理も国会議員も辞める」と答弁した。佐川氏の答弁は、首相発言がきっかけではなかったのか。自身の答弁をゆがめたため、決裁文書を改ざんする必要に迫られた疑念もある。

 これらは問題の一部である。佐川氏の喚問だけでは国民は納得しない。与野党は腰を据えて真相解明に取り組まなければならない。

(3月22日)

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