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官房機密費 国民の目を届かせよう

 時の政権が機密費を国民の目の届かないところで都合よく使っている実態の一端が浮かび上がった。

 一部が開示された内閣官房報償費(機密費)の関連文書である。支出の9割は官房長官が自分の判断で支出できて領収書も要らない「政策推進費」だった。開示されたのは月ごとの収支にとどまり、支払先や使途についての記述はない。

 元をたどれば税金である。政府には透明度を高める責任がある。

 未来永劫(えいごう)、国民に対し秘密にするのは論外だ。一定期間後、例えば20年、30年後には全て公開する仕組みを検討すべきだ。

 市民団体が機密費文書の公開を求めた裁判で最高裁が1月、部分開示を国に命ずる判決を出していた。今回、▽安倍晋三首相が官房長官だった2005〜06年分▽河村建夫衆院議員が官房長官だった09年9月分▽菅義偉官房長官の13年分―が開示された。

 原告団が公表した文書によると、安倍首相と菅氏は1カ月当たり7029万円〜1億5832万円を支出していた。その9割が政策推進費だった。

 河村氏が支出した09年9月は、総選挙を経て旧民主党への政権交代が決まっていた時期だった。2億5000万円は全て政策推進費として支出された。

 1カ月間としては飛び抜けて多い。機密費を民主党政権に渡さないための支出だった可能性が否定しきれない。

 開示文書では支払先と使途は分からない。最高裁判決は、使い道が分かった場合「今後の内閣官房の活動全般に支障が生ずることもあり得る」として、細部にわたる開示は命じなかった。

 機密費の使途が明らかになる場合がまれにある。小渕恵三内閣で官房長官を務めた野中広務氏(故人)は共同通信の取材に答え、国会で野党工作に当たる自民党の役員らに配ったと述べていた。共産党は以前、国会対策費などの名目で野党を含む国会議員に渡っていたことを示す文書を入手したとして公表している。

 こうしたケースは例外だ。大半は秘密のままになっている。

 02年、外務省職員が総額約5億円の機密費をだまし取り、競走馬やマンション購入に充てていた事件が発覚した。秘密性に付け込んだ犯行だった。

 政府が仕事を進める上で、カネの使途をすぐには公表できない場面があることは否定しない。その場合も、何年か後には例外なく公開する仕組みにすべきだ。

(3月23日)

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